手口が巧妙化する投資詐欺の実態とは(イメージ)
警察庁の発表によると、2026年上半期の特殊詐欺被害総額は全国で1816億2000万円に上り、被害者の約42%は65歳以上とされている。元女性アナウンサーの木田陽子さん(70代、仮名)も詐欺の被害に遭い、わずか1か月で全財産の5000万円を失った。『A先生(仮名)の錬金術』という見知らぬLINEグループに自動追加されたことがきっかけとなり、リーダーと思しき「A」という人物に架空の投資取引アプリに誘導され、8回にわたり合計5000万円を振り込んだという。木田さんからの悲痛な告白をライターの河合桃子氏がレポートする。【前後編の後編】
刑事から言われた「一概に被害とも言えないでしょう」
木田さんが「送金したお金が戻らない」ことに気づいたのは、知人からの警告だった。
「実は5000万円振り込んだ段階でAから『そろそろ出金を』と促されました。出金方法を尋ねると『税金300万円が必要だ』と言われて。そんな大金はないので、知人に事情を話し一時的に300万円を借りようとしました。そこで知人が『それ、詐欺じゃないの?』と警告してくれた」
グループLINE『A先生(仮名)の錬金術』に自動加入してしまったことで…
そこから動きは急転した。
木田さんはまず自宅近くの警察署へ。事情を話すと、刑事からこう言われたという。
「投資ってことは、あなたが欲をかいたんですよね。一概に被害とも言えないでしょう」
木田さんはその言葉にショックを受け、自らを責めたという。A側に連絡しても「税金を払わないと引き下ろせない」の一点張りで、やがてメッセージを送っても反応がなくなった。後日、経緯書を作って改めて予約を取り警察署へ行くと今度は別の刑事が話を聞いてくれたが、当時は最終的に事件化することはなかった。傷心と混乱のなかで木田さんが刑事に正確な説明をすることができなかった部分もあるのかもしれない。

