たーちゃん氏のXアカウント
ステージ4のがんを患いながら株式投資を続け、元手50万円から50億円超の資産を築いた億り人・たーちゃん氏が亡くなった。昨年6月のマネーポストWEBの取材では、投資に出会った医学生時代の思い出から自身が投資する銘柄まで、その投資手法を含めて惜しむことなく語っていた。余命宣告を受け、巨額の資産を築きながらも投資を続けた原動力とは何だったのか。
〈たーちゃんの家族の者です 9月10日たーちゃんが永眠しました 生前お世話になった皆様、仲良くしてくださった皆様、フォロワーの皆様には心よりお礼申し上げます ありがとうございました〉
麻酔科医でもあった、たーちゃん氏のアカウントからこの投稿が発信されたのは9月15日午後6時すぎ。生前交流のあった多くの億り人らが追悼の意を表明した。
2022年に直腸がんの告知を受けたたーちゃん氏は、当時10億円を超えていた資産の多くを造船株に集中的につぎ込んだ。さらに韓国の造船株に投資して50億円以上の膨大な資産を築いたのだ。元手を1万倍に増やした投資手法「シクリカルバリュー株投資」についてまとめた著書『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社刊)は16万部を超えるベストセラーとなった。
取材時には「本を書いていた時からさらに増えて今は80億円に。いずれ100億円は超えると思う」と笑っていたが、多くの読者、投資家から支持を集めたのは資産額の大きさではなく、一貫した投資姿勢にあるだろう。
株をしていない自分は自分じゃない
成功の秘訣は、「根拠ある自信」に基づく「ストーリー」にあると説いていた。
「伝説のファンドマネージャーと呼ばれるピーター・リンチ氏が『90秒で説明できない会社には手を出すな』と言ったように、今後の成長を簡単に説明できるストーリーのない会社に投資してはダメ。なんとなく株価が安いとか、配当や優待がいいといった理由だけでは買ってはいけない。私は常に『根拠のある自信』を持って投資をしています」(たーちゃん氏)
難しい表現を易しい言葉に言い換えてくれる気配りもありながら、投資に関しては「いい加減なことは話せない」と読者に対する責任感を強く感じさせた。
一度の人生では使い切れないほどの資産を築き、度重なる手術と抗がん剤治療に苦しみながらもまだ投資を続けるのか。やめないのはなぜなのか。そう尋ねると、たーちゃん氏はこう答えた。
「投資を止めることはないですね。生活の一部になっちゃっている。逆にやっていないと、気持ち悪いみたいな感じになっていますね。歯磨きせずにとか、お風呂入らずに寝たりって気持ち悪いじゃないですか。株をしていない自分は自分じゃない」
取材では注目する銘柄についても出し惜しみなく語ってくれた。トランプ政策、ウクライナ戦争、米騒動といった社会情勢から次に成長する個別銘柄を見極め、独自の株価上昇ストーリーを話す時は生き生きとした表情を見せていた。謹んでご冥福をお祈りしたい。
