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テクニカル分析の第一人者 山中康司のFX MT4 裏ワザ活用術

FXトレードツール「MT4」を使った経験がある人も多いだろうが、まだ知られていない便利な機能が数多くある。その一部をテクニカル分析の第一人者である山中康司氏に解説してもらおう。

MTFで複数時間枠のチャートを表示する

MT4(メタトレーダー4)は、ロシアのメタクオーツ社が開発したツールで世界中のトレーダーが愛用している。テクニカル指標を表示するための「インディケーター」や自動売買のための「EA(エキスパートアドバイザー)」が有料、無料を問わず数多く公開されているのが魅力だ。

国内でも十数社のFX会社が提供しているから、すでに使ったことがある人も多いだろうが、その機能を十分に使い切っていないケースが多いといわれる。そこで、今回は、MT4をさらに便利に使うためのワザをいくつか紹介しよう。

最初に紹介するのは、MTF(マルチタイムフレーム)だ。これは複数時間枠のチャートを一つの画面に表示するためのツールだ。売買判断をするときには、日足→1時間足など、期間の長いチャートから短いチャートへ順にチェックすることが多い。通常はチャートの時間枠を切り替えて確認するが、MTFを利用すれば1つのチャートに複数の時間枠を同時に表示できる。

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図表1はドル/円の1時間足に日足の5日移動平均線と20日移動平均線を表示したものだ。期間が長いチャートと短いチャートが同じ傾向を示していれば、その傾向はより強いと判断できるし、異なる傾向を示しているときには期間の長いチャートが優先する。

たとえば、日足も1時間足も上昇トレンドを示していれば、強い上昇トレンドと判断できる。逆に1時間足が下降トレンドに転じていた場合でも、日足が上昇トレンドを示していれば、上昇トレンドは継続していると判断する。

これはMT4に「MTF MA」というインディケーターを組み込むと利用できる。ネット上で「MTF MA」と検索すれば見つかるはずだ。

次に紹介するのはテンプレート機能だ。MT4には、自分の好みの色やテクニカル指標を設定したチャートをテンプレートとして保存する機能がある。保存したテンプレートをチャートに適用するためにはメニューバーから[チャート]→[定型チャート]→[適用するテンプレート名]と選択する必要があるが、一発でテンプレートを適用させたチャートを表示させる方法がある。

それは、テンプレートを保存するときのファイル名を「default(default.tpl)」にする方法だ。こうしておけば、新しいチャートを追加した場合には、最初からテンプレートが適用されたチャートが表示される。素早くチャート分析を行う場合に便利だ。

「指標の指標」で売買チャンスを増やす

最後に「指標の指標」を表示させる機能を紹介しよう。通常のテクニカル指標は、4本値(始値、終値、高値、安値)を利用して計算を行う。たとえば、終値の移動平均線であれば、4本値のうちの終値を使って、移動平均を計算する。

「指標の指標」とは、4本値から計算したテクニカル指標の数値を使って、さらにテクニカル指標を作るものだ。ここでは「指標の指標」として人気がある「RSIボリンジャーバンド」を紹介しよう。簡単に言えばRSIにボリンジャーバンドを表示したものでボリンジャーバンドの考案者であるジョン・ボリンジャー氏も愛用しているツールだ。

そもそもRSIは、買われ過ぎ、売られ過ぎの判断する代表的なテクニカル指標。一般的には、数値が70以上を買われ過ぎ、30以下を売られ過ぎと判断する。ところが、上昇トレンドがはっきりと出ている場合には、50よりも上でしか推移しない、下降トレンドがはっきりと出ている場合には、50よりも下でしか推移しないということがしばしば起こる。

このようなときには、RSIで買われ過ぎや売られ過ぎを判断するのは難しい。

そこで、RSIボリンジャーバンドの登場だ。RSIの数値を基にボリンジャーバンドを表示させることで、トレンドが出ている場合でも、もみあいの場合でも買われ過ぎ、売られ過ぎを適切に判断できる。 

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図表2はドル/円の日足にRSIボリンジャーバンドを表示したものだ。RSIは期間8、ボリンジャーバンドは期間20で±2σ(シグマ)を表示している。チャートの右側では上昇トレンドが出ているから、買いでトレードしたほうが勝率は高くなるが、実際にエントリーしようと思うとどこで買うのがよいのか迷う。

チャートの青丸のところでは、RSIはまだ30には到達しておらず、それだけでは売られ過ぎと判断できないが、RSIボリンジャーバンドでは-2σに到達して売られ過ぎを示している。その後の動きを見ても上昇トレンドの中にあって、押し目買いのチャンスだったことがわかる。

MT4でRSIボリンジャーバンドを表示するのは簡単だ。RSIのアイコンをナビゲーターウインドウからチャートへドラッグ&ドロップすればRSIが表示される。さらに、ボリンジャーバンドのアイコンをRSIにドラッグ&ドロップすれば、RSIボリンジャーバンドが表示される。このときにパラメータの設定画面が表示されるので「適用価格」のところで「First Indicator’sData」を選ぼう。

この他にもMT4にはさまざまな便利な機能がある。たとえば、MT4で自動売買を実践するには、パソコンを起動したままにしておく必要がある。しかし、メタクオーツ社が提供する「バーチャルサーバ」を利用すればパソコンの電源はオフでも自動売買が可能だ。VPS(仮想専用サーバ)を利用すれば同じことができるが、「バーチャルサーバ」はMT4の開発元のメタクオーツ社が提供しているだけに安定度は申し分ない。

MT4を使いこなして、FXのトレードチャンスを増やそう。

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※「マネーポスト」2015年秋号に掲載
マネーポスト 2015年秋号 2015年 10/1 号 [雑誌]: 週刊ポスト 増刊

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