近年、教員の不足が問題視されている。2022年1月に発表された文部科学省の調査では、2021年度の始業日時点で全国で計2558人の不足が報告されている。
地方公務員削減の影響などの行政側の問題がある一方で、その厳しい労働環境からそもそもなり手がおらず、また離職する人も多いことが指摘されている。産休・育休を取る教員が増加しているのに臨時教員が補充されない現状もある。
2022年の日本教職員組合「学校の働き方改革に関する意識調査」(調査回答数9702人)によれば、教員の週あたり平均労働時間は62時間38分。正規の勤務時間は38時間45分なので、週あたりの平均時間外労働時間は23時間53分となる。これを月換算すると実質「95時間32分の時間外労働」となり、80時間/月の「過労死ライン」を大きく上回る危険な状態が常態化しているという。
前出・日教組の調査結果を見ると、休憩時間については「0分」という回答が4割を超えている。平均でもわずかに12分と、息をつくヒマもない。そんな過酷な労働の実態はどのようなものか。神奈川県の公立中学校に勤める理科教師の秋山さん(20代男性・仮名)がリアルな現状をを明かしてくれた。
毎日が残業続きで日によっては0時まで仕事をすることも
子供と一緒に学校での楽しい時間を過ごし、思い出を作りながら成長を見守る仕事がしたいと考え、教師になること決めた秋山さん。もちろん忙しさはある程度覚悟していたが、実際に待ち受けていたのは、想像以上の過酷な環境だった。夢だけで片付けられる仕事ではない現実を突きつけられたという。
「教師という職業はとにかく時間外労働が多い。私の場合、顧問をしているテニス部の朝練がほぼ毎日あるので、6時半には学校へ。授業、ホームルームが終わり、そのあとも部活です。
定時は8時15分から16時45分ですが、私の実際の勤務時間は基本的に6時から20時まで。日によっては0時頃まで仕事をしています」(秋山さん。以下「」内同)
秋山さんの年収は額面で420万円ほどだが、一般公務員と違って、定時を過ぎた分の残業代は時間に応じて支払われるわけではない。時間外勤務手当の代わりに支給される手当として教職調整額があり、給料に対して4%が加算されている。