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【銀行員“受難の時代”】かつて憧れだった「支店長」も今や単なる“フロアマネージャー” 近い将来の人手不足も懸念

キャリアの先行きが見通せなくなった銀行員たち(写真:イメージマート)

キャリアの先行きが見通せなくなった銀行員たち(写真:イメージマート)

 銀行の支店・ATM統廃合、手数料値上げなどに対して預金者からは様々なかたちで不満が噴出しているが、現場で働く銀行マンにとってはビジネス環境が激変したことによる“受難の時代”が到来している現実があるようだ。

 みずほFGが1万9000人の人員削減を発表するなど業界に衝撃が走った2017年から、銀行員の転職希望サイトに登録する者が急速に増え始めたのだ。働き始めたばかりの若手だけでなく、“支店長の一歩手前”である30代後半~40代にも多いという。『銀行員はどう生きるか』などの著書があり、長年金融業界を取材する経済ジャーナリスト・浪川攻氏が語る。

「銀行はどこも店舗を減らしているので、それに伴って支店長などのポストも減っている。数百人規模の入社同期を見渡して『オレは残れないな』と思えば転職という選択肢も有力になってくるわけです」(以下「 」内は浪川氏)

 もともと“銀行員人生”は短く設定されており、50歳前後で銀行を離れ、取引先企業や子会社・関連会社に迎えられるケースが多かった。

「取引先に行った銀行員は経理・財務を担当するのが伝統的ですが、今の企業には財務の専任者はいるし、もっと言えばAIなどの財務システムが整備されていて、必ずしも銀行員を必要としなくなっている。

 子会社・関連会社には不動産、保証会社、人材派遣会社などがありますが、規模が大きくなってプロパーの社員を採用している企業も多く、昔のように銀行員を受け入れ切れるかというと、そうでもない」

 顧客第一であるべき銀行員だが、業界が“海図なき航海”を続けるなかで、自身のキャリアの先行きが見通せず、溺れている──そんな現実が浮かび上がってくる。浪川氏は、最も激変するのは「支店長」ポジションの扱いだと続ける。

「メガバンクを中心に、窓口であらゆる手続きができるフルバンクの従来型店舗から、機能特化型の店舗への移行が進んでいます。支店長室がなくなったり、支店長が自らロビーに立って接客したりするようになってきている。

 かつては銀行員の憧れでありゴールだった支店長が、今は単なるフロアマネージャー的な存在に変わりつつあります」

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