公共料金の支払いを延滞してしまうと、そのサービスを停止されるのは当然だ。では、いざ、そうなった時、どのような気分になるのだろうか。過去にガスと水道と固定電話を止められたというネットニュース編集者の中川淳一郎氏(47)が、当時を振り返る。
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私は社会人2年目に実家を出て、知り合いと一緒に東京・恵比寿のマンションに住み始めました。その時のルールは「家賃は私が全額払い、公共料金は全額同居人が支払う」というもので、当時、公共料金については一切の手続きをやっていませんでした。
その次は会社員でありながらも学生寮に住む知人の部屋に転がり込んだため、ここでも公共料金の支払いはありませんでした。ただ、この寮は電気を自家発電していたため、その電気代として月に1500円を寮費に上乗せして払っていました。
その次に初めて純粋に自分だけが住む部屋を借りましたが、この時は無職になっていました。風呂なし・共同便所の家賃3万円の部屋です。水道代は家賃込みでしたが、電気・ガス・固定電話代はコンビニ支払いです。だいたい、月に電気代が3500円、ガス代が1500円、固定電話代が2500円ぐらいでした。
初期の頃は無職でも貯金からキチンと払っていたのですが、その後、雑誌のライターとなり、連日のように早朝までの仕事が続く状況になると、支払うお金はあっても、コンビニ自体にあまり行かなくなりました。
あらかじめ買っていたカップラーメンや、ファストフードを食べる生活が続くのですが、そうするとついつい公共料金の支払いを忘れてしまう。
そして、その日は突然やってきました。カップラーメン用のお湯を沸かそうとガスレンジを回したところ、「チッチッ」という音がしたうえで、火が全く着かない。この瞬間「あぁ、やられた……」という諦めムードになるとともに「貧困」「怠惰」「自堕落」「故郷の両親ごめんなさい」といった言葉が頭をよぎります。
しかし、ガスについてはこの部屋に風呂があるわけでもないため、火を使った自炊さえ諦めればなんとかなるという発想になってしまいます。どちらにせよ、契約期間中にガスを使わなかったとしても基本使用料は支払わなくてはいけないのに、いったい何を開き直っているのか……。