大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

弁護士、会計士、教師、医師…「第4の波」でAIに取って代わられる仕事とは

AI・スマホ社会の「第4の波」ではどんな職業が生き残るのか(イメージ)

AI・スマホ社会の「第4の波」ではどんな職業が生き残るのか(イメージ)

 最新の対話型AI(人工知能)を使った「ChatGPT」も登場するなど、AI技術の進歩によって今ある多くの仕事を奪うのではないかと指摘されている。「第1の波」農業革命、「第2の波」産業革命、「第3の波」情報革命に続く、AI・スマホ社会の「第4の波」では、どんな仕事がAIに取って代わられるのか? これまで「ボーダレス経済」や「プラットフォーム戦略」「クオリティ国家」など、新たな時代の潮流を“予言”してきた経営コンサルタントの大前研一氏が、今後活躍できる人材像について解説する。

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 私が提唱している「第4の波」では、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、中小企業診断士、社会保険労務士、宅地建物取引士などの「サムライビジネス(士業)」の多くは、AIに取って代わられる(図を参照)。

【図】第4の波(サイバー社会)ではプロフェッショナルを含む職業が消滅

【図】第4の波(サイバー社会)ではプロフェッショナルを含む職業が消滅

 たとえば、すでにカナダでは弁護士業務のかなりの部分をAIが代替している。その訴訟のケースをアプリに入力すると、過去の判例に基づいて「裁判に勝てる確率」「妥当な請求額」「争点と法廷で議論すべき順序」などをAIが教えてくれるのだ。書籍やネット上の判例集を紐解いて調べる必要はないのである。今後はAIを駆使できる弁護士しか生き残っていくことはできないと思う。

 さらに日本の場合、弁護士以外の法律事務の取り扱いを禁じた弁護士法第72条が修正されれば、大半の弁護士はネット相談に置き換わってしまうだろう。

税理士や建築士も仕事が激減?

 あるいは、IT先進国のエストニアでは納税申告が自動化され、会計士や税理士という職業が消滅した。政府のクラウドデータベースに全国民のネットバンクとのやり取りと預金残高が記録されているため、課税所得や納税額の計算が自動的に行なわれる。国民はスマホやパソコンから自分の納税額を確認し、承認するだけで確定申告と納税が完了する仕組みになっているのだ。日本も納税申告だけなら経理ソフト・会計ソフトから電子的にできるが、利用している企業や個人はまだ非常に少ないのが現状だ。

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