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【日本株週間見通し】今週の東京株式市場は軟調か 金融システム不安の高まりが重し

先週の日経平均は3週ぶり反落

先週の日経平均は3週ぶり反落

 投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月13日~3月17日の動きを振り返りつつ、3月20日~3月24日の相場見通しを解説する。

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 先週の日経平均は週間で810.18円安(-2.88%)と3週ぶり反落。一方、週足のローソク足は長い下ヒゲを伴った陰線を形成し、終値では13週線、26週線、52週線の上方を維持した。

 米シリコンバレー銀行(SVB)をはじめとした相次ぐ銀行の経営破綻を受けてリスク回避の動きが先行し、週前半に大幅下落。一方、米金融当局と政府が緊急融資プログラムを発表したことが投資家心理を改善させたほか、米2月消費者物価指数(CPI)がほぼ予想通りの結果になったことで、週半ばにはいったん下落が止まった。しかし、スイス銀行のクレディ・スイスの経営難を警戒して欧州市場でも銀行株が急落すると、世界的な金融システム不安が強まり、週後半に再び大きく下落。一方で週末は反発した。経営難に直面していた米ファースト・リパブリック・バンクの支援に複数の大手銀行が動いたことなどが目先の安心感につながった。

 今週の東京株式市場は軟調か。21-22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。16日に開かれた欧州中央銀行(ECB)定例理事会では従来の計画通り0.5ポイントの大幅利上げが決定された。ただ、銀行業界の混乱を背景に、今後の政策金利の軌道を示唆する文言は声明文から取り除かれた。また、ラガルド総裁は記者会見で、将来の利上げについて「現時点で決定することは不可能」と発言。利上げが停止されるまでには至らなかったものの、足元の一連の事態に配慮した言動が所々に見られた。FOMCでも0.25ポイントの利上げが決定されつつも、同様に先行きについては含みを持たせた柔軟な姿勢が示されると推察する。

 フェデラルファンド金利先物市場は一時年内4回の利下げを織り込み、週末時点でも年2-3回の利下げを予想している。米連邦準備制度理事会(FRB)は神経質になっている市場にショックをもたらさないよう配慮を見せると思われる一方、早期の利上げ停止がインフレを再燃させる恐れも警戒し、今回の政策金利見通し(ドットチャート)ではインフレに対するファイティングポーズを見せるため、現在の市場想定よりはやや高い金利水準を示してくる可能性がある。ただ、パウエル議長の会見ではトーンが軟化すると考えられ、今回のFOMCは大きな波乱なく消化すると考える。

 一方、市場の最大の関心事である世界的な金融システム不安の高まりが引き続き重しとなるだろう。各国の金融当局と政府が迅速に緊急対応策を実施していることもあり、連鎖的な倒産、システミックリスクは避けることができると思われるが、急速な金融引き締めの影響が大きい新興企業や不動産業界への貸し出し割合が高いところでは今後も経営難に直面する銀行が出てくる可能性は高い。国内外の銀行株の急落後の戻りの鈍さからも、投資家の警戒感は解消されていないことが窺え、株式市場の上値の重い展開が続きそうだ。

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