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「家庭の負担は大きい」 中学受験、難関校ほど「高収入サラリーマンと専業主婦家庭」が多くなる理由

難関校ほど「親がフォローできる家庭」が有利に

 その御三家対策の塾は非常に面倒見がいい。自習室完備で、分からない問題があれば講師がマンツーマンで教えてくれる。しかし、そんな手厚い塾に聞いても「ご家庭の負担は大きい」という。御三家を狙う以上は、親が頑張らないといけないのだ。

 なぜかといえば、御三家に合格するためには、勉強の量は増え、質も高くなるからだ。偏差値60ぐらいまでの学校は、テキストに載っている基礎を網羅しマスターすれば合格できる。ある程度、勉強に向いている生徒ならば、塾で授業を受ければ、あとは自力でどうにかなるだろう。

 しかし、偏差値60以上の難関校になってくると、基礎力では太刀打ちできない。大人でも首を傾げるような難易度が高い問題が出題されるからだ。その難問を解くために論理的な思考力を鍛える必要があるが、それを小学生が身につけるには相当な努力が必要になってくる。親がフォローしないとそうそう戦えない。追い詰められて髪を抜いたり、爪をかんだりと自傷行為にやや近い行動をする受験生も出てくる。そうなると、身体やメンタルへの手厚いケアも必要になろう。そうなってくると、どちらかの親が全力で受験に取り組める家庭が有利になってくる。

 つまり、御三家に子どもを入れるのは、「ひとりで年収1200万円以上を稼ぐ男性と専業主婦家庭」が有利となる構造なのだ。日本の給与所得者の平均年収は443万円である(国税局『民間給与実態統計調査』令和3年)。つまり、平均の3倍を稼ぎ出す男性たちというわけだ。

 さて、それはどんなサラリーマンなのだろうか。

年収が高い仕事ほど雇用が流動的

 現在、就職先で花形なのが外資系企業だ。なぜなら、給与が高いからだ。2022年にNTTは「GAFA予備校」を止めるために人事改革をはじめるとしたが、それだけ外資系への人材の流失が止まらないということだろう。

 外資系がなぜ給与が高いかといえば、雇用が流動的だからだ。不要な人材は切っていくので、「JTC」(Japanese Traditional Company)と呼ばれる伝統的な日本企業のように「働かないおじさん」を抱えずに済む。そのため、無駄な人件費を支払うことがないから、社員全体の給与水準は高くなる。外資系でなくても給与が高い企業の場合、その分、雇用が不安定なことは多い。

 現在、転職を繰り返すことで、キャリアアップしていくのが主流になってきているので、キャリアアップを目指すエリート層ほど、雇用が流動的だが、高収入の仕事を選択する。

 昭和の時代は、新卒採用で国内大手企業に就職したら終身雇用で、定年まで高い給与が保証されていた。そして、その高収入で安定した経済力の男性たちが子どもを御三家に通わせていたのだが、今はそうではないということだ。

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