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「このままでは成長できない」“ゆるブラック企業”を敬遠した令和の若手社員が“ガチブラック企業”に惹かれてしまう落とし穴

以前なら「ブラック企業」と言われかねなかった企業に若手社員が惹かれる“逆転現象”も(イメージ)

以前なら「ブラック企業」と言われかねなかった企業に若手社員が惹かれる“逆転現象”も(イメージ)

 人手不足が叫ばれ、新卒の就職活動も学生の「売り手市場」といわれている。深刻な少子化によりその傾向にはさらに拍車がかかっていくとみられるなかで、多くの企業は若い人材の確保、そして定着のために頭を悩ませている。令和の新入社員たちが辞めてしまわないように待遇や雇用環境の改善に細心の注意を払うことが喫緊の課題となっているわけだが、企業側の「配慮」が必ずしも奏功しているわけではなさそうだ。

 昨年10月に厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況」(平成31年3月卒業者)によれば、大学新卒社員が会社を3年以内で辞める割合は31.5%。ここ10年は3割を少し上回るほぼ横ばいの水準で推移している。新卒学生と企業の「雇用のミスマッチ」は長く指摘されてきた問題だが、雇用環境が改善傾向にある近年は若手社員の退職理由にも変化が見られるようだ。

 昨年3月に関西の有名私大を卒業したAさんが言う。

「新卒で大手電機メーカーに入社しましたが1年で辞めました。いつまでも先輩の補佐や資料作成などの事務作業ばかりで、『このままでは成長を望めない』と感じたのです。転職先は住宅メーカーの営業職で、ノルマや上司の指導は厳しいですが明確な売上目標を掲げてくれるし、家が売れればしっかりと給料にも反映されるのでやりがいを感じています」

 Aさんのように新卒で入社した会社で「簡単な雑務」しか任されないことに物足りなさを感じ、成長できる可能性がないと判断して短期間で退職を決める例が増えているという。

 経営・組織コンサルティングなどを手掛ける識学が今年4月に発表した「新卒入社3年未満の若手社員の働き方に関する調査」の結果によると、会社を辞めたい・転職したい理由の1位は「昇給の見込みがないから」(40.9%)で、以下2位「休みがとりづらいから」(29.5%)、3位「成長や昇進の見込みがないから」(27.3%)、4位「成長に繋がる仕事や責任ある仕事を任せてもらえないから」(26.1%)と続く。

 若手社員が働くモチベーションとして昇給や成長、仕事の権限に重点を置いていることが窺える結果だ。反対にいつまでも簡単な仕事しか任せてもらえず成長などが見込めない企業は「ゆるブラック企業」と嫌われる傾向があるとされる。その結果、指導やノルマが厳しく以前なら「ブラック企業」と言われかねなかったタイプの企業に若手が惹かれていく“逆転現象”が一部で起きているという。

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