投資

「2030年に日経平均8万円」説は現実になるのか 投資のプロがその根拠を検証する

 前出・戸松氏が言う。

「東証の改善要請を受け、増配や自社株買いなどの株主還元に踏み切る企業が相次いでいます。現在の株価上昇は、ウォーレン・バフェット氏をはじめ、日本株の投資環境が好転していることに目をつけた海外投資家の買いによる影響が大きい」

 そして、世界の投資家による日本株買いの動きは、「まだまだこれからも続く」と戸松氏は言う。

「日本は世界の先進国で唯一、金融緩和を続けており、日銀の植田和男総裁はその路線を継続する姿勢です。当面の間は円安が続くと考えられ、割安な日本株に欧米市場からマネーが流れ込む状況も続くと見られます」

「1.41倍理論」を打ち破る

 マーケットアナリストの平野憲一氏(ケイ・アセット代表)も、将来の「日経平均大幅上昇」の可能性に賛同する一人だ。

「ひとまず、2024年末の日経平均は5万3000円程度になると予想しています」

 そう語る平野氏は、「名目GDPと市場の時価総額」の関係に着目してこう話す。

「兜町には、昭和・平成バブル崩壊以降、語り継がれてきた『最上位市場の時価総額は名目GDPの1.41倍を超えられない』という言説があります。史上最高値をつけた1989年の名目GDPは430兆円で、同年末の東証1部上場銘柄をすべて合わせた時価総額は606兆円だったことに由来するものです。翻って現在の日本に目を向けると、IMF(国際通貨基金)が推計した2023年の名目GDPと東証プライム上場銘柄の時価総額の比率は奇しくもバブル時と同じ1.41倍なのです。

 仮に『1.41倍理論』の通りなら今がピークということになりますが、私はそうは思いません。厳しい最上位市場の上場基準を満たす企業の数は大きく増えており、バブル期の約1.5倍になっている。生産性を上げて競争力を備えた各社が市場に正当に評価されるようになれば、バブル以降に定着した“常識”を覆し、日本市場全体の時価総額は、まだ膨らむ可能性がある」

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