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【ソシオネクスト、プログリット、Abalance】株価急騰後に暴落した3銘柄から考える“天井掴み”を避ける「3つのルール」

【1】半年で5倍になったソシオネクスト(6526)

 ソシオネクスト(6526)は昨年10月にIPO(新規上場)したばかりの新興銘柄だ。IPO銘柄に求められるものは「成長性」である。4月28日の決算発表における2024年3月期の業績見通しは、売上+3.8%、営業益+3.6%とプラス成長を見込んでいたが、IPO銘柄に求められる成長としては控えめな数字といえる。また、経常益、最終益、EPS(1株当たり利益)においては前年度割れの見通しとなっていた。

 決算の数値をベースに投資対象を選んでいる私の立場としては、この段階で「見る価値がない」と判断していた。この決算発表後、ソシオネクストは上昇局面で盛り上がっていたが、私は一切目もくれることもなかった。

 年初の6000円から6月に2万8330円と約5倍近くになっていた株価は、現在、1万5000円を切っており、1か月足らずでほぼ半値になった。

【2】半年で10倍超に急騰したプログリット(9560)

 次にプログリット(9560)を確認したい。この銘柄は1月の安値233円から6月の高値2499円まで、株価は10倍以上に膨らんだ。

 前述したソシオネクストとは異なり、私も同社を監視銘柄リストに入れており、エントリーの検討をしていた銘柄だ。昨年9月にIPOしたばかりの新興銘柄という点ではソシオネクストと比較しやすい。本田圭佑氏も投資家として上場前から資本投入しており、市場の注目度も高かった。4月14日に発表された2023年8月期の上半期決算では通期業績の上方修正も行い、大幅成長を見込んでいた。

 業績、財務内容ともに非常に期待できる決算内容だったため、エントリーの検討に値すると考えていたが、ひとつ懸念点があった。それはロックアップ解除である。大型株主のロックアップ(一定期間持ち株を売却できない)は、その多くが上場から180日間の“縛り”を受けている。つまり、昨年9月上場の同社であれば、今年3月以降には大株主の売りが入る可能性があると考えられたわけだ。

 好決算であったという理由だけでエントリーすることで、大株主の売りのタイミングとバッティングする可能性もあった。また、同社の4月段階の時価総額はまだ64億円という小規模なものであったことから、万が一にも大株主が売ってきた際には株価への影響が大きく、暴落もありえる状況だった。

 ただ、結論から言えば、決算後の上昇局面の初動を取っていれば、その後の大暴落を受けても利益が出たかもしれない。私自身も、上昇中には「入っておけばよかった」と思う場面もあったが、6月下旬の暴落を見るとやはり入らなくてよかったと考えている。

 6月20日に2500円まで上昇した株価は現在1000円台と、1か月足らずで半値以下になった。短期投資においては、途中にどんな利益が乗っていようとも、手仕舞うまで勝敗はわからない。少しでも不安がある場合は、今後の投資戦略の参考として監視するだけに留めておくのがよいだろう。

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