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【60歳以降の生命保険】継続と解約の“分岐点” 必要保障額の目処がつけば減額より解約を視野に

60歳以降の生命保険をどう考える?(イメージ)

60歳以降の生命保険をどう考える?(イメージ)

 就職や結婚を機に加入して以来、数十年にわたる「生命保険」契約を、定年後になっても続ける人は少なくない。しかし、死亡や病気のリスクが高まる60歳以降は、保険料が跳ね上がることが多い。定年後の家計にとって負担が大きいが、「万が一の時のため……」と思うと解約を躊躇する人もいるだろう。やはり契約を続けたほうがいいのだろうか。家計コンサルタントの八ツ井慶子氏が語る。

「死亡保険に関しては、残された家族の経済的な不足分=必要保障額を算出することがポイント。子供が独立していることの多い60歳以上なら、妻の生活に必要な資金の総額から預貯金や年金額などを引くことで計算できます」(以下「 」内同)

「必要保障額」は生命保険の死亡保障に相当するが、それは年齢とともに減っていくのが一般的だ。八ツ井氏は、解約を検討する際は加入する保険のタイプが重要だという。

「貯蓄性の高い終身タイプの死亡保険は、何歳で亡くなっても保険金が支払われるため、払込満了年齢が近い場合、解約はもったいないと言えます。一方、掛け捨てタイプの死亡保険は、更新がある場合はそのたびに保険料が上がるため、人生の最後の最後まで継続するのは現実的ではありません」

 では、どのタイミングで解約を検討すべきか。

「60歳以降のリタイア前後がいいでしょう。そこでも“保障ゼロ”になるのを恐れて、保険金額を減額して継続するパターンになりがちですが、年金や預貯金などで必要保障額の目処がつけば、更新を待たずに解約したほうがムダがありません」

 最悪なのは、保険料が高くなった75歳で解約し、76歳で亡くなるなどのパターンだ。

「高い保険料を払い続けたのに、残された家族には1円の保険金も支払われません。必要保障額がマイナスになった時に解約できれば、保険料分を人生終盤の楽しみに回すこともできると思います」

※週刊ポスト2023年9月1日号

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