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【相続登記の義務化】不動産登記が「祖父の代」のままだと「行方不明者の調査」「疎遠な親戚との交渉」などの事態に陥ることも

不動産登記が「祖父の代」のままだと面倒なことになりかねない(イラスト/河南好美)

不動産登記が「祖父の代」のままだと面倒なことになりかねない(イラスト/河南好美)

 民法及び不動産登記法の改正により、相続によって不動産を取得した場合、「3年以内に登記すること」が2024年4月から義務付けられることになった。逆に言えばこれまで相続登記をせずとも罰則はなく、登記を怠る例も多かった。それが時に大ピンチをもたらす。

『失敗しない相続対策』の著者で吉澤相続事務所代表の吉澤諭氏が語る。

「北関東のある農家で父親が亡くなった際、息子が市役所で名寄帳(固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめたもの)を確認すると、父が所有する不動産が自宅の建物だけになっていた。慌てて確認すると、自宅や畑の土地の名義が祖父のまま──というケースがあった。地方でよくあるんです」

 これがどんなトラブルに発展するのか。

「祖父名義のままの不動産の“真の所有者”が父だと確定させないと、相続の対象財産が明確にならず、手続きを進められない。そのため祖父の死亡時にさかのぼって、当時の遺産分割協議の手続きから処理し直すのです」(吉澤氏)

 祖父の相続人である子供たち(叔父や叔母など)と話し合い、全員から遺産分割協議書への捺印を得る必要などがあるが、他界しているケースも。

「そうなると、さらに叔父や叔母の相続人となるいとこなどの捺印が必要になるし、行方不明者がいれば調査して家庭裁判所に相続財産管理人の選任や失踪宣告を申し立てる必要がある。疎遠な親戚がゴネて金銭の支払いで解決せざるをえないこともあります」(吉澤氏)

 こんな最悪の事態に巻き込まれないためにどうしたらよいのか。

「親が生きている間に登記の名義を調べておく。先代の所有のままになっていたら、親が存命のうちに相続登記をしておくこと。それが最善の防衛策です」(吉澤氏)

※週刊ポスト2023年9月15・22日号

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