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経団連はなぜ「消費税引き上げ」ばかり提言するのか 過去には「税率19%への引き上げ」を前提に試算公表

「社会保険料の引き上げ」だと企業も負担増に

 消費税が上がれば消費は冷え込み、経団連を構成する大企業の業績にとってもマイナスのはずだが、なぜ今回もまた、「少子化対策の財源に消費税を」という議論が出てきたのか。大手紙経済部記者はこう言う。

「これまでの経団連の主張は消費税の増税と法人税の減税がセットになっていた。政府に財政の健全化を求めつつ、自分たち大企業の利益を削りたくないということで、広く薄く国民の負担が増える方向を求める傾向がある。昨年秋に防衛費増額のための財源に法人税が浮上すると、十倉会長がすぐに会見で『(防衛費は)国民全体で負担すべき性格のもの。法人税の議論が先行するのはいかがなものか』と牽制したのがわかりやすい。

 また、仮に少子化対策などの財源として社会保険料が引き上げられた場合、会社員の本人負担分だけではなく『企業負担分』も大きくなるというところがポイントなのでしょう。たとえば、厚生年金の保険料率は18.3%ですが、労使折半のため会社員の給与から天引きされるのは9.15%。残りの9.15%は企業が拠出するかたちになっている。そうした仕組みの社会保険料が引き上げられるとしたら、それは会社員だけでなく企業にとっても直接的な負担増になる。そうしたことが、消費税を議論の対象とするように求める発言につながっているのではないか」

 企業の論理を押しつける「消費増税論」に、国民の幅広い支持が集まるとは到底思えない。(了)


>次ページは【資料】経団連による「令和6年度税制改正に関する提言」

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