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ビッグモーター騒動で注目を集めた「下請法」 親会社の理不尽からどこまで守ってくれるのか、弁護士が解説

「下請法」で対抗できる範囲は?(写真:イメージマート)

「下請法」で対抗できる範囲は?(写真:イメージマート)

 中古車販売大手のビッグモーター騒動では、「下請け業者への強要」も注目を集めた。下請事業者を保護する法律もあるが、果たしてどこまで守ってくれるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 父が急逝したため、私は超零細の町工場の社長となりました。まだ、落ち着かない状況なのですが、心配なのはビッグモーターの報道で目にする『下請法』のこと。まさか取引会社が除草剤を撒けとはいわないまでも、具体的にどのような無理難題をふっかけられたら、『下請法』で対抗すればよいのでしょうか。

【回答】
『下請代金支払遅延等防止法』(下請法)とは、公正な取引をさせることで、下請事業者の利益を保護することを目的とする法律です。

 取引の種類と、取引当事者の大小の関係で、適用の有無が決まります。町工場ということですから、他の業者が製造や販売する製品や、その部品等の製造を依頼される取引と思いますが、その場合、製造委託として『下請法』の対象になる取引です。

 次に超零細というあなたの町工場が、個人経営や資本金が1千万円以下の会社経営の場合、取引相手の資本金が、1千万円を超える会社であれば親事業者となり、町工場はその下請事業者になって『下請法』の適用があります。

 この『下請法』の適用がある取引では、親事業者は製品受領後60日以内の日を代金支払期日と定め、必ず一定の事項を記載した書面を交付する義務があり、60日以内の支払いを怠ると、支払うまで14.6%の割合の遅延損害金の支払い義務もあります。

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