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【大都市でも進む公立高校の統廃合】過半数の市区町村で「ゼロまたは1校」に 通学可能範囲に学校がない、教育の質が保てなくなるなどの弊害

「15歳人口」は15年後に27.1%減

公立高校ゼロもしくは1校のみの市区町村割合

公立高校ゼロもしくは1校のみの市区町村割合

 統廃合の前段階として小規模化が起きる。文科省によれば1991年度時点では全体の0.6%に過ぎなかった3学級以下の高校が、2021年度には4.0%に膨らんだ。この間、高校の総数が608校減ったにもかかわらずだ。

 通学可能なエリアに公立高校が無く、遠方の学校を選ばざるを得ない生徒が増えてきている。交通機関が脆弱な過疎地域では親戚宅などに「下宿」しての通学を迫られるケースもある。

 近隣に高校があったとしても、それが小規模校ならばクラス替えがままならなかったり、部活動において集団で行うスポーツ種目が選択できなかったりといった弊害がある。1学年の生徒数が20人に満たない公立高校もあり、教員数が削減されて教育の質が保てなくなることも懸念されている。

 公立高校の統廃合が進むのは、出生数減の影響が大きい。文科省によれば2010年には約121万人を数えた15歳人口は年々減り続け、2023年には約108万人となった。2029年には100万人を割り込み99万人になると見込んでいる。

 その先の見通しは、総務省の年齢別日本人人口を計算すれば概ね予測することができる。2022年10月1日現在の15歳人口は約107万1000人だ。これに対し10年後にこの年齢に達する5歳は約92万2000人だから2032年の高校受験世代は13.9%減る。0歳は約78万1000人なので、15年後の2037年の15歳人口は現在より27.1%少なくなる。

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