投資

1000社以上の決算を継続調査するアナリストが注目 「決算説明書の変化」から見えてくる会社変革のシグナル

【3】Kids Smile Holdings(7084)

 Kids Smile Holdings(7084)は、認可保育所事業と幼児向けの英語教育などのプレミアム教育サービス事業を展開する。11月24日に行われた2024年3月期第2四半期決算説明会では、説明資料のデザインを刷新。従来のロゴを押し出すものから、サービス提供対象である子供のイメージを全面に出すものとなった。

 創業者である中西正文社長は、これまでの決算説明会の場で株価に対してあまり触れることがなかった。先日の決算説明会では、業績が順調に最高益を達成しているにもかかわらず株価の動きが芳しくないことに、不満を強く表明するとともに、今後、第三の柱となる事業を開始する準備も進めていることを明言していた。

 質疑応答の際に「説明の資料を変えてきたことで、今後の変化への伏線を張ったのか」と筆者は聞いてみた。中西社長は否定も肯定もしなかったが、今後の成長に対して投資家に期待をもたせる意図があったように映った。

 これら3社の決算説明会に、筆者は過去何度も参加している。3社とも、過度な期待を煽ったり、期待先行で株価だけが高くなっていくことをよしとしない企業姿勢を感じさせてきた。そういう「慎ましい」会社が、説明資料や説明の仕方を変えることで何を伝えようとしているのか。個人投資家だからこそ、そこから何らかのシグナルを読み取ることができるのではないだろうか。

【プロフィール】
小島一郎(こじま・いちろう)/株式会社分析広報研究所 代表取締役チーフアナリスト。大手シンクタンクでのアナリスト、複数の上場企業で広報IR関連業務を行った後、独立。業界・企業を横串しにする独自リサーチを10年以上継続し、その上場企業数は1000社以上。企業の価値向上コンサルティングや広報IR活動の実務支援をおこなう。著書に『成長する企業がやっている分析する広報』(みらいパブリッシング)がある。

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