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線路に敷き詰められた「砕石」の重要な役割 新幹線には砕石を使わない軌道もあるのはなぜか?

 最後にトリビアを1つご紹介しましょう。下の写真は、2005年に開業したつくばエクスプレスの線路です。

つくばエクスプレスの線路。万博記念公園駅にて

つくばエクスプレスの線路。万博記念公園駅にて

 この写真の線路に敷かれたバラストは、まくらぎを支える役割はしておらず、ただコンクリートの上に敷いてあるだけ。しかも、そのサイズは、バラスト軌道で使われているものよりも小さいです。

 さて、このバラストは何のために線路に敷いてあるのでしょうか?

 答えは、音を吸収するためです。

 写真の軌道は、「省力化軌道」の一種である「弾性まくらぎ直結軌道」です。まくらぎは、弾性材を介してコンクリート製の基礎(コンクリート道床)に固定してあり、振動を吸収する構造になっているので、バラストがなくても使うことができます。

 ただし、コンクリートの平らな表面が露出したままだと、走行時に発生する音が反響しやすいので、騒音が問題になりやすい区間では「消音バラスト」と呼ばれる粒が小さいバラストを敷き、音を吸収しています。

【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。著書多数。

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