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【進化するがん治療】「高齢者は手術しない」は過去の話 「治療の負担に耐えられるか」を個々に判断、保険適用範囲も変化

罹患者数に比べて死亡者数の増加は鈍い

罹患者数に比べて死亡者数の増加は鈍い

乳房再建の保険適用の範囲も広がっている

 9人に1人が罹患する乳がんも、手術のスタイルは日々更新されている。これまで“がんがしっかり取り除ける上、転移のリスクも減らすことができる”という観点から、乳房全体を切除する「全摘術」が最良の手段とされてきたが、近年は変化が生じている。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。

「現在は、腫瘍部分だけを切除する『部分切除術(温存手術)』という選択肢が一般的になっています。かつては乳がんの手術を受けると、見た目の変化は避けられませんでしたが、いまは必ずしもそうではありません」

 村上さんが続ける。

「最新の研究によって、全摘したケースと、部分切除術と放射線治療を受けたケースでは、生存率が変わらないこともわかっている。加えて最近は女性の乳腺外科医も増えていて、より治療を受けやすい環境が整ってきています」

 また、かつては片側だけで100万円ほどの費用がかかるとされていた術後の乳房再建も、保険適用の幅が広がったことで、多くの人がより自然な形の乳房を取り戻せるようになった。主に、自身の体の一部(自家組織)を移植する方法と、人工物(インプラント)を使う2つの方法があり、乳輪や乳頭の再建も行える。

 再建は治療後いつでも行うことができるが、「希望がある場合、事前に伝える方がいい」と国立がん研究センターがん対策情報センター本部副本部長の若尾文彦さんはアドバイスする。

「事前に希望が伝えられていると乳腺外科と形成外科で連携を取ることができるため、再建までの道のりを考えて治療を組み立てることができる。よりよくスムーズな形で再建手術を受けることが可能になります」(若尾さん)

第2回に続く

※女性セブン2024年3月14日号

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