快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

【写真で解剖】未来的デザインの電動バイク・BMW「CE 04」に乗ってみた 限定解除も不要のシティコミューターとしての割り切り

電動スクーター「Cエボリューション」の後継にあたる「BMW CE 04」。既存のスクーターとは違う佇まいに注目が集まる

電動スクーター「Cエボリューション」の後継にあたる「BMW CE 04」。既存のスクーターとは違う佇まいに注目が集まる

 BEV(バッテリーEV)などの電動車の航続距離を伸ばそうとすると、どうしてもバッテリーを大きくせざるを得ず、必然的に重量も増大する。このため、コンパクトで軽量が売りの2輪車にとって、BEVモデルの開発は大きな壁に直面する。現在、電動バイクと呼ばれるモビリティは総じて航続距離は短く、いわゆる「ちょい乗り用」という扱いがほとんどだ。

 そうしたなかで登場したのが、航続距離130 km、2人乗り可能という「BMW CE 04」というEVスクーターだ。シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回は自動車ライターの佐藤篤司氏が「BMW CE 04」に試乗してレポートする。

シティコミューターとしての役割に特化した2代目BEVスクーター

 BEVを始め、プラグインハイブリッドなど電動化が進む4輪車と比較すると、2輪のEV化は小型のスクーターなど、まだまだ限定的です。BEVは航続距離を伸ばそうとすればするほどバッテリーは大きくなり、重量も増します。この現実は、コンパクトで軽量が身上の2輪にとって、大きなマイナス要因です。

 そんな状況がある中、BMWモトラッド(以下、BMW)は、2017年5月にBMWにとって初めての電動スクーター「Cエボリューション」を発売。航続距離は一日の都市部での移動で乗るには十分と思われる最大160km、最高速度は129km/hというパフォーマンスでした。コンセプトどおり、都市型モビリティというポジションであれば、スペック上の問題はありません。

 実際に4種類の走行モードを使い分けながら走らせてみると、エンジン車にはない静かにしてスムーズな走行感と、低速からトルクフルな加速感がかなり新鮮な印象でした。ブレーキング時や坂道の下りなどでは、きわめて効率的なエネルギー回生が行われ、航続距離の維持に配慮されていました。「ようやく日常的に使えるBEVバイクが登場」ということもあり、2020年には警視庁が警察車両として導入し、東京マラソンで先導役を務めたり、翌年の箱根駅伝でも出動して話題になりました。

 そのCエボリューションの後継車と言えるのが2022年に登場した「CE 04」です。搭載されるモーターの定格出力は15kW(20ps)、最高出力は31 kW (42 PS) / 4900 rpmで、搭載するバッテリーは60.6Ah(8.9kWh)。その航続距離は130km(WMTCモード)で、最高速度は120km/hとなります。ちなみにWMTCモード値とは、2輪製品の燃料消費率(BEVでは航続距離)のことで「発進、加速、停止等を含んだ国際基準となっている走行モードで測定された試験結果にもとづいた計算値」です。

 さて後継モデルと言いながら、航続距離は少し短く、最高速度も落ちています。コンセプトをみると「よりシティコミューターとしての割り切りを進めたこと」が理解できます。そして何度も言いますが、ロングツーリングなどの長距離走行を可能にすると、バッテリーはさらに大型化され、ひいてはボディも大きく重くなり、追い求めていた電動シティコミューターとしての役割が果たせなくなるわけです。

 そこでまず最新の「CE 04」について、シティコミューターとして使い勝手はどうかをチェックしてみましょう。ボディサイズは全長2285×全幅855(ミラー含む)×全高1150mm(ウインドシールド含む)です。日本の250ccクラスのスクーターより長く、少し低いといったサイズ感でしょうか。ただし、車両重量は231kg。同じセグメントの中型のスクーターの多くが160~190kgぐらいにあると考えると、大人一人分ほど重いことになります。

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