「10月効果(October effect)」として知られる米国発のアノマリーがある。過去に歴史的暴落が10月に起きたこともあり、投資家たちの警戒心が強まる月だといわれている。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが、日米の過去のデータをもとにこのアノマリーについて検証する。
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9月の米雇用統計が市場予想を大きく超える強い結果となり、NYダウやS&P500は史上最高値を更新し続けています。また、自民党総裁選の結果を受けて一時崩れかけた日本株も、雇用統計発表後の円安の支えで3万9000円台に復帰し、4万円を視野に入れた展開となってきました。
しかし、10月に入ると、投資家の頭には「歴史的暴落は10月に多い」という警戒心が浮かんできます。一般的に「10月効果(October effect)」として知られる米国発のアノマリーについて、過去の株式のパフォーマンスを長期的に検証した結果を考察してみたいと思います。
米国株はあまり動かず、日本株は変動に注意
ニッセイアセットマネジメントが2018年に行った調査によれば、1900年から2018年までの118年間のNYダウの値動きを見ると、上下ともに変動率トップ50に入る日は、10月では、下落がわずか2日、上昇は3日のみでした。
暴落が多い印象があるものの、米国株において10月は変動の少ない月であることがわかります。ちなみに、最も大きな変動率トップ50が多い月は6月で、下落が15日、上昇が12日入っています。「セル・イン・メイ」(5月に株を売れ)という有名なアノマリーが意識された後ということで、相場変動が大きくなるのかもしれません。
一方で、日本株に関しては日経平均株価の1970年から2018年までで、上下ともに変動率トップ50の月別の結果が紹介されていました。これによると、10月は下落が13回、上昇が10回と、1年の中で統計上最も変動の大きい月であることがわかりました。