九州とオランダの高速道路網の比較
“安倍・麻生道路”も整備するのか
田中角栄が「列島改造」を唱えた1970年代は右肩上がりの経済と並走するように、鉄道や道路の計画も次々伸びた。しかし、全国各地の一巡目の建設はほぼ終わり、例えば1万4000キロの高速道路計画のうち95%が完成しているのも確かだ。 血税をどんなインフラに投じることになるのか。
「“小成に甘んじるな”という言葉があるよな。道路でいえば、1万4000キロを計画したのは、昭和62年(1987年)ですよ。取りまとめたのは、当時、建設省道路局の課長補佐だった私で、上司の課長は藤井治芳氏(のちの道路公団総裁で小泉政権と対立して解任)だった。
欧州の水準を追いかけたが、相手(欧州)もどんどん建設が進むから差は縮まらない。人口と面積がほぼ同じオランダと日本の九州の高速道路ネットワークを比べると、九州のほうがはるかに貧弱ですよ。
計画直後から“これじゃ足りねえ”と感じ、平成6年(1994年)に1万4000キロとは別に、〈地域高規格道路〉という別枠で九州横断自動車道はじめ約7000キロ、合わせて2万キロになる計画をつくったが、今後は少なくとも2万(キロ)プラスアルファというかたちにしないと」
地元出身の政治家の名前から“安倍・麻生道路”との異名もある「下関・北九州道路」や三浦半島と房総半島を結ぶ「東京湾口道路」など、忖度疑惑が浮上したり、あるいは夢物語と思われていた道路も計画の視野に入るのかを問うと、佐藤氏の答えは、「それはまだこれからの議論」と多くは語らなかった。