売り上げが少ない大手チェーンのホールがつぶれない理由
大手チェーンの場合、集客に成功していないにも関わらず、閉店することなく営業を続けているケースもある。都内に住む会社員・Cさん(30代女性)は、近所にあるパチンコホールに足繁く通っている。
「地域に何店舗か営業しているチェーンのホールなんですが、本当にいつ行ってもガラガラ。平日だと広いホールに3人くらいしかいない時間帯もあります。そこなら周りに誰もいない状態でパチンコに没頭できるので、気分転換には最高なんですよね。新台もちゃんと入れてくれるし、そんなに釘もガチガチではない。意外とお客さんに還元してくれるんです」
複数のホールを経営する大手チェーンでは、当然ながら売上が多いホールもあれば、そうではないホールもある。前出・藤井氏が解説する。
「大手はチェーン全体で売上を確保できているというような理由で、一部の稼働の悪いホールでもそのまま営業を続けるということもあります。パチンコホールは営業許可を取るのが簡単ではないので、一度営業を始めたホールを簡単に手放したくないという事情もあるのでしょう。また、パチンコホールが入っているのが、運営母体が所有する建物だというケースもあり、ランニングコストが低く抑えられているがゆえに、集客が微妙でもつぶれないホールもありますね。
ちなみに大手チェーンのホールが閉店するとなると『あのチェーンは危ないのか?』という噂がネットなどで広まってしまうこともある。そういったネガティブなイメージを避けたいがために、営業を継続するということも考えられます」
あまり利益が出ないホールの営業を続けられるのは、大手チェーンだからこそ。これが1店舗しか営業していない小規模ホールであれば死活問題となり、閉店やチェーン店への身売りなどを余儀なくされるだろう。
かつてに比べると確実に遊技人口が減っているパチンコ・パチスロ業界では、大手チェーンでなければなかなか生き残りが難しくなっている。そして、小規模ホールが大手チェーンのホールに生まれ変わることで、集客が復活するケースも珍しくない。増加するパチンコホールのM&Aは、パチンコ・パチスロ業界の生き残りのためには、必要な流れなのかもしれない。
前編記事《【減少し続けるパチンコホール】小規模店が淘汰され大規模店だけが生き残りへ 資本力のある大手チェーンにユーザーが集中せざるを得ない事情》では、パチンコホールの店舗数やパチンコ機・パチスロ機の設置台数から、業界の現状を分析している。