何より、消費減税はトランプ関税対策になる。
トランプ大統領は日本やEU諸国の消費税(付加価値税)と輸出戻し税【*注】を「貿易障害」として強く批判しているから、消費税率を下げれば大歓迎するはずなのだ。それをしないのは税収を減らしたくない増税マフィアや、輸出大企業が抵抗しているからだ。
【*注:輸出に消費税を課さない場合、輸出業者は仕入れの際に払った消費税分が損になってしまうため、その分を税務署が輸出業者に還付する仕組み。トランプ大統領はそれを「日本製品を有利にする輸出補助金だ」と批判している】
そもそも、「消費税を下げると社会保障の財源がなくなる」という彼らの主張はおかしい。
社会保障の2025年度の国庫負担額は2019年度と比べて年3兆8711億円しか増えていない。税収増はそれよりはるかに多く、社会保障財源を従来通りに使っても、消費税を減税する財源は十分ある。
給付金なら参院選は減税を訴える野党に惨敗
石破首相は減税か、給付金かを迷っている。
だが、増税マフィアの言うままに5万円給付金を配れば、参院選では減税を訴える野党から集中砲火を浴びる。そうした前提を置いた本誌・週刊ポスト前号の選挙予測では、自民は改選52議席を34議席まで減らす大惨敗との結果が出た。参院も与党過半数割れとなり、公明以外と連立が組めなければ16年ぶりの「下野」となる。
石破首相は政権中枢を牛耳ってきた増税マフィアと手を切り、参院選前に消費減税を決断できるのか。それ次第で、政権の帰趨が決まる。
■前編記事:《石破政権に与野党から「減税包囲網」が敷かれるも“増税マフィア”が巻き返し工作 財務省は「給付金なら次の選挙でも配れるが減税すると配れない」と政治家を説得》から読む
※週刊ポスト2025年5月2日号