財務省が主張する「減税の財源がない」は本当か(時事通信フォト)
ついに自民党内からも「減税」を求める声が上がり始めた。バラバラだった野党も減税の旗印のもとにまとまりつつあるなか、石破茂・首相は減税派と“増税マフィア”との間で究極の二択を迫られている──。【前後編の後編】
消費税の増収分で賄える食料品の消費税率ゼロ
「5万円の定額給付金」を配って国民を誤魔化そうと考えていた石破茂・首相は与野党から“減税要求の包囲網”を敷かれた。それに対して“増税マフィア”の財務省や財政再建派議員は巻き返しに懸命だ。
だが、財務省が主張する「減税の財源がない」というのは真っ赤な嘘だ。国の税収を見ればはっきりわかる。
消費税率が10%に引き上げられた2019年度の国の税収は58.4兆円。毎年増え続け、今年度(2025年度)の税収は77.8兆円(政府見通し)とざっと20兆円も増えている。そのうち消費税収だけを比べても、18.4兆円から24.9兆円へと、6.5兆円増だ。
消費税率は10%で変わっていないのに、なぜ、消費税収はこんなに増えているのか。経済評論家の荻原博子氏が語る。
「消費税収が大きく増えたのは消費が活発化したからではなく、インフレで商品価格が上がり、同じ商品を買っても払う消費税が増えたからです。物価上昇による“見えない消費増税”が行なわれ、国民の税負担が重くなったわけです。増えた税収を役所が基金に貯め込んだり、無駄な予算に使ったり、政治家が選挙前の1回限りの給付金や減税で配ったりしてきた。それなら、インフレで伸びた消費税収6.5兆円は国民に還元すべきではないでしょうか。物価高対策として筋が通っている。
それだけではありません。国の税収では法人税も増えている。この間の円安で企業の業績がよかったからですが、円安は物価高を招いて庶民の家計を直撃した。そう考えれば、消費税の増収だけでなく、国の税収全体の増加分を、消費減税の財源にしてもいい」
食料品の消費税率をゼロにするのに必要な財源は年約5兆円、消費税の増収分(年6.5兆円)で十分賄える。さらに国の税収増の年20兆円をすべて消費税減税の財源にあてれば、消費税率は10%から4%に引き下げることができる計算だ。