一斉を風靡したJ-PHONEのカメラ付き携帯電話(AFP=時事)
ネタにされやすい昔の業界用語・ビジネス用語の数々
ここまでは、なぜか残り続けているガジェット用語を紹介してきましたが、昨今のレトロブームを受け、テレビなどでは“あえて”昔の業界用語やビジネス用語がネタにされることがあります。
最近、20代の男性から「意味が分からない」と言われたのは、「ギロッポンでシースー」と「チャンネー」。50代の上司から寿司に誘われた際、冗談めかして言われたようですが、まったくピンと来ない。これは、バブル期にマスコミや広告業界の人たちが使う“チャラい言葉”の象徴的事例とされ、上司はおもしろいと思って使ったのかもしれませんが、彼には刺さらなかったようでした。
当時、マスコミや広告の業界人は様々な言葉を逆に言うのがナウい(今っぽい)と考えていたんです! ちなみに「ギロッポンでシースー」は「六本木で寿司」で「チャンネー」は「ねーちゃん」(女性)の意味です。
あとは、「ダマテン」「アゴアシマクラ」「ガッチャンコ」「ペライチ」「てっぺん」「ロハ」も、いまの若い人には通じにくいでしょう。これらは順番に「客先や上司に報告せず勝手に仕事を進行する(麻雀の「黙って聴牌」が由来)」「食費(アゴ)・交通費(アシ)・宿泊費(マクラ)」「複数のものを一つにまとめること」「A4(に限らずですが)用紙1枚(にまとめる)」「(夜中の)24時」「無料・タダ(漢字の「只」が由来)」です。
自分が当たり前のように使っている言葉が、実はもう通じない古い言葉だった……なんてことは珍しくありません。最近では「ツイッター」が「X」になっても、まだまだ「ツイッター」「ツイート」などと口にしてしまいがちですが、どのぐらいしぶとく残り、いつ古い言葉扱いされるのか、ウォッチしていきたいと思います。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。