ミャクミャクは笑顔だけど…(Getty Images)
大阪・関西万博が開催中で、人気のパビリオンには長い行列ができている。今後、さらに入場者が増えていくことも予想されるが、「そもそもいまの日本で万博を開く意味がわからない」というのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏が万博開催でモヤモヤする気持ちの正体について解き明かす。
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結論から言うと、もはや大型イベントで景気浮揚を狙う時代ではないんですよ。1964年の東京五輪と1970年の大阪万博は、発展途上国だった日本に新幹線をはじめとした社会的インフラ整備をするきっかけになりました。両イベントともに日本の経済発展と景気浮揚に多大なる貢献をしたといえましょう。1998年の長野冬季五輪の時も長野新幹線ができたし、これも意味はあった。結局この新幹線が北陸新幹線までの延伸に繋がったのです。
2002年のFIFAワールドカップ日韓大会については、既存のスタジアムを活用するほか、浦和レッズやサッカー日本代表が使用する埼玉スタジアム2002の竣工に繋がっただけにこれも意味があった。韓国との共催だったため、新設のスタジアムをそれ程作らず、すでにあるインフラで運営ができたのです。
しかし、2020年の東京五輪はキナ臭い話ばかりでした。国立競技場をぶっ壊して新国立競技場を作ることになりましたが、コンペに勝ったザハ・ハディド氏の案は、当初の予算1300億円から2520億円に膨れ上がることが明らかに。結局撤回され、再コンペの結果、隈研吾氏のデザイン案が選ばれて建設費は1490億円となりました。他にも水上競技の施設を新たに作るなど、「ハコモノを作って景気浮揚!」的なムードも高まったものです。
さらには広告代理店の汚職・談合事件やら、人材派遣会社による大幅ピンハネなども明らかになるなど、五輪というカネのなる木に一部業者が群がり、儲けを得る例も。しかし、新型コロナウイルス騒動もあって延期・無観客開催となったことで、これらのインフラが最大限活用されたとは言えない状況になりました。
景気は特段良くなるわけではなく、ただただ「感染対策五輪」のようになっただけで、小池百合子都知事が再三言っていた「レガシー」はもはや死語になっています。