ニッポンの「創業家」ランキング(1~3位)
「大林コレクション」「出光音楽賞」芸術分野のパトロンに
他の創業家でも芸術分野の“パトロン”は多い。大林組の大林家(50位)の一員である大林剛郎氏は同社の代表取締役会長を務めながら、国内屈指の現代アートコレクターとして知られ、定期的に「大林コレクション」を披露している。出光興産の出光家(34位)は1964年に放送が始まったクラシック系音楽番組『題名のない音楽会』(テレビ朝日系)のスポンサーを務め、1990年には同社が主催する音楽賞「出光音楽賞」を創設した。経済ジャーナリストの秋山謙一郎氏が語る。
「出光興産はクラシックのパトロンとして有名です。『題名のない音楽会』の本編中にCMが流れないのは、創業者の出光佐三氏の“芸術に中断はない”という信念の表われだと言われています」
特殊な成り立ちなのが42位にランクインしたキッコーマンの茂木家だ。同社のルーツはロシア革命が勃発した1917年に、千葉県野田市のしょうゆ醸造家である茂木家(6家)、高梨家、堀切家の計8家が設立した「野田醤油」に遡る。ランキングに記したのは最も保有比率の高い茂木家の資産管理会社で計5.4%。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が指摘する。
「キッコーマンの創業家である『醸造家8家』には“8家から入社できるのは一世代1人に限る”との不文律があるそうです。こうした独自の仕組みのなかで、国内トップシェアを誇る世界的な企業に成長した」