ユニ・チャーム創業者の高原慶一朗氏(左)と長男・豪久氏(2001年撮影/時事通信フォト)
会社を興した経営者の一族が、長きにわたって影響力を行使する──そうした「創業家」はニッポンの大企業に特徴的に多く、会社の成長とともに一族で巨額の資産を受け継いできたはずだが、詳細は公表されていない。
そこで本誌『週刊ポスト』は、上場企業の時価総額トップ300社の最新の決算資料から「大株主の状況」に記載がある創業家出身者、創業家が設立した資産管理会社が保有する株式の時価を集計し、「株保有資産額」の合計を50位までランキング化した。1位はユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井家で4兆9722億円、2位はソフトバンクグループの孫家(3兆1746億円)、3位はキーエンスの滝崎家(2兆5385億円)だった。【日本の創業家の株保有資産ランキング・全3回の第2回】
“創業家は社会貢献を果たすべし”
IT企業などを興して一代で財を成した創業者が巨額の資産を持つのは世界に共通する現象だが、上位には2代、3代と受け継がれてきた歴史ある企業の創業家も多数ランクインしている。たとえば6位に入った紙おむつや生理用品を製造販売するユニ・チャームの高原家がそうだ。
「1961年に同社を創業した故・高原慶一朗氏はカリスマ経営者として業績を伸ばし、2001年にまだ40歳手前だった息子の豪久氏に早々と社長の椅子を譲りました。バトンを受けた豪久氏は父親から『お前のせいで株価が下がるんじゃ!』と叱責されながらグローバル化を進めて、同社をさらに発展させました」(経済ジャーナリストの福田俊之氏)
その結果、現在の高原家の株保有資産は6836億円にのぼる。32位に入ったブリヂストンの石橋家は初代の石橋正二郎氏が戦前に創業し、2代目の幹一郎氏が中興の祖となった。しかし、3代目の寛氏は“君臨すれども統治せず”で監査役にとどまり、2012年には監査役からも退任。創業家は完全に経営から身を引いた。
「それから寛氏は正二郎氏が設立した石橋財団を通じて美術館設立などの文化・教育事業に力を入れました。石橋家は“創業家は社会貢献を果たすべし”という哲学を体現している」(福田氏)
寛氏の保有する株の割合は3.1%(時価1207億円)にとどまるものの、「同社の経営トップがインタビューで『寛氏は対話をしてくださる方』と評していましたが、石橋家は社員からも象徴として尊敬される存在」(同前)なのだ。