孫正義氏との出会いと深い絆
ジャック・マー氏の半生は、中国経済の黄金時代の到来から黄昏までと軌を一にする。
その経歴から本人が日本に移ってきた背景も窺い知れる。
1964年に浙江省杭州市で生まれたマー氏。子供のころに市内にやってきた留学生や観光客から英語を学び、その中で「ジャック」という通称を得た。大学受験に2度失敗した後、1984年に杭州師範学院大学に入学。最初のキャリアは杭州電子工学院での英語講師だった。大学を辞めると、翻訳会社「海博翻訳社」を設立したのだった。1995年に政府視察団の通訳として初渡米し、インターネットに触れたことが後の人生を決定づけた。
同年、故郷の杭州で中国初のインターネット会社「中国黄頁」を始動させる。1997年から一時的に北京に居を構えていたが、その後杭州に戻りアリババを設立した。
1999年10月にソフトバンク創業者の孫正義氏と出会い、瞬時に意気投合した。5分ほどで出資を決めた孫氏は「彼の目にカリスマを見た」と振り返る。その後、お互いの会社の取締役を務めるなど名実ともに盟友となった。
マー氏は日本に特別な思い入れがずっとあるようだ。コロナ禍が始まったばかりの2020年3月には、感染の広まっていた北海道を含めた日本各地に計100万枚のマスクを提供した。
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