中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

訪日客は「ジャパン・レール・パス」で激安旅行 衰退途上国・日本が“過剰なおもてなし”をする意味はあるのか?

「のぞみ」「みずほ」以外の新幹線も乗り放題

「のぞみ」「みずほ」以外の新幹線も乗り放題

 新型コロナウイルスに関する水際対策が終了し、多くの外国人観光客が日本を訪れるようになったが、彼ら/彼女たちは日本の安さに歓喜していることだろう。物価の安さに加え、1ドル=140円台という状況は、訪日客にとってまさに天国。そのうえ、JR各社の「ジャパン・レール・パス」を使えば、滞在中の交通費も格安で済む。だが、「今の日本の経済力を考えた時、このままでよいのだろうか」と疑問を呈するのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏が今の日本の「おもてなし」について、提言する。

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 JRグループ6社が外国人旅行者向けに提供している乗り放題パス「ジャパン・レール・パス」。10月頃から価格改定され、普通車用の7日パスは2万9650円から、5万円に、14日パスは4万7250円から8万円になるなど、大幅に値上げされることが話題になっていますが、それでも最近の円安進行を踏まえれば、外国人にとってはまだまだ激安で手に入る、非常にお得な切符です。

 元々は、海外からの観光客を呼び込み、さらには「おもてなし」をするべく導入されたのでしょうが、正直、もう役割は終えたのでは。これだけ多くの外国人観光客が訪れ、さらには「爆買い」を含めて日本で大量に買い物をし、普通に“安いニッポン”を満喫している。しきりとスポーツウェブメディアが「外国人が日本のスタジアムグルメの質と安さに感激」みたいな記事を出していましたが、これって途上国扱いなんですよ。

 逆に日本人がアメリカで「朝食にサンドイッチとコーヒーを食べたら3000円だった(涙)」なんてネットに書くわけですから、外国人にとっての金銭感覚と、日本人庶民の金銭感覚は違うのです。外国人に人気の北海道・ニセコでは、海鮮丼が5800円だったりします。

 北海道文化放送が2019年3月19日に配信した〈日本人がいない…外国人だらけの街の実態は?「ラーメン3000円」に「家賃急騰」も【北海道発】〉という記事では、冬場のニセコの宿泊客の95%が外国人という実態や、3000円の「タラバ塩ラーメン」を紹介。スーパーで4万6000円の塊肉を買った人もいたそうです。

 私も2015年にイタリアへ行った時、ランチでパスタとサラダとビール2本を頼んだら5000円ぐらいしました。今だったら円安でもっとするでしょう。にもかかわらず、現地の人々は意に介さずバンバン注文している。そんな人たちからしたら、今の日本なんてそもそも激安過ぎるわけです。

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