合格者体験記に溢れる「活動実績キラキラアピール」
私が「総合型選抜では活動実績が重要」と勘違いしたのは、取材を始める時に大量の合格体験記を読んだり、動画を視聴したりした影響もあるだろう。それらの総合型選抜の合格体験記に出てくる学生の多くが高校時代の活動実績をアピールするのだ。「生徒会の副会長として校則の見直しに尽力した」「高齢者介護施設でのボランティアでリーダーとして活躍した」、なかには「部活を続け、市の大会でベスト6に入った」という部活の実績をアピールする学生も実に多い。それらを見ていると、“自称進”(自称進学校)といわれる「部活はほぼ禁止でひたすら勉強をさせる高校」の生徒は、総合型選抜での合格は難しいということになってしまう。
最近私が見た合格体験記は早稲田塾のものだ。ナガセグループの一角である早稲田塾は実績をあげている老舗の大手推薦塾だ。
この早稲田塾が「部活を続けてきた高3生のための 高3生 部活生特別招待講習」というキャンペーンを告知しているのを見かけた。
この告知のウェブページでは上智の法学部新聞学科の公募制(総合型選抜)に合格した男子学生・三宅翼くんの事例が紹介されている。
「部活の実績を活かして合格」ではない
三宅翼くんは3歳から15年間、サッカーを続け、高校時代はサッカー部のキャプテンとして活躍した。
取材を始めた頃の私ならこの三宅くんの合格体験インタビューを見て、「部活で活躍したことが総合型選抜で評価されたのだな」と誤解していただろう。しかし、今は十分な情報を持っているため、この合格体験も正しく読解できる。
三宅くんの合格体験記の見出しは「部活で学んだ姿勢を活かして現役合格」とある。そう、「活動実績を活かして合格」ではないのだ。
新興の推薦塾がやたらと「野球部での活動実績を活かして総合型選抜に合格」「子どもの頃から続けているバレエを活かして合格」といった内容で煽っているが、最大手の早稲田塾はそういった「事実とは違うこと」は書かない。バレエを習っているから大学に受かるわけがない。