生鮮アーモンドの約97%が米国産
食品衛生法の違反件数122件と際立って多いのが生鮮アーモンドで、主な違反内容は発がん性の強いカビ毒「アフラトキシン」の検出だ。
食品問題に詳しい消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が言う。
「アフラトキシンは国際がん研究機関(IARC)が発がん性評価の最高ランクに位置づけている。熱に強いため通常の加熱や洗浄では除去できず、肉眼でも確認できないので非常に厄介です」
財務省の貿易統計によれば、日本国内に流通している生鮮アーモンドの約97%が米国産だ。
「多くは素焼きアーモンドとして販売されていますが、チョコレートやシリアルなどでも使われている。近年は健康ブームから米国産を使ったアーモンドミルクの流通量も増えています」(小倉氏)
次に多いとうもろこしは、遺伝子組み換えを含む「その他のとうもろこし」を合わせると75件にのぼる。こちらも多くの違反事例でアフラトキシンが検出されている。
「コーンポタージュや粒入りの缶詰などで使用されるほか、とうもろこしを粉末にしたコーンスターチにも使用されています。スナック菓子や揚げ物用の衣の材料、増粘剤、香料といった食品添加物のほか、ビールにも発酵原料などとして使われている。また、米国産とうもろこしはコーンシロップとしても利用されています。『果糖ブドウ糖液糖』などの原料名で清涼飲料やスポーツ飲料などに広く使われ、ケーキ類に使用されることも多い」
今回は違反事例件数が複数あったものをリスト化したが、もちろんここに挙げた食品がすべて危険というわけではない。あくまでもリスクを知るための指標として参考にしてほしい。
米国は日本にとって最大の食品輸入相手国であり、我々の食は米国産抜きには成り立たない。だからこそ、安全とリスクについて正しい知識を持って向き合うことが必要だ。
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※週刊ポスト2025年5月30日号