中国人業者による「TOEICカンニング」の裏側をレポート
5月19日、警視庁野方署は中国籍で京都大学大学院2年の王立坤容疑者(27)を建造物侵入容疑で現行犯逮捕したと発表した。報道によると、容疑者は中国人留学生2人から報酬を受け取り、昨年6月と今年3月に行なわれたTOEICで替え玉受験を行なっていたという。いずれの試験でも900点以上の高得点を記録し、容疑者はマスクに隠した小型マイクで試験中に解答を別の受験生に伝えていた可能性も指摘されている。中国事情に詳しいライター・廣瀬大介氏が今回の「TOEICカンニング」の裏側をレポートする。
点数をオーダーメイド
「JLPT」「EJU」でのカンニング行為を謳う業者への取材を進めるなかで、日本の大学受験で留学生が同様に提出を求められる「TOEIC」や「TOEFL」の不正に関する情報も得ていた。小紅書(中国版インスタグラム)では、これまで複数の業者によるTOEICの得点保証に関する投稿が確認されている。業者は「TOEIC点数保証」「TOEFL点数保証」「ノーリスク」「本人は受験無し」(いずれも日本語訳、以下同)という言葉とともに、これまでの実績として900点以上のスコア表の写真などを投稿していた。
実際に2つの業者と接触した。業者Aにメッセージを送ると、日本国内での試験会場でTOEICの点数保証を行なっていると返信が届いた。そして、
「日本の大学や大学院に進学するなら800点くらいが必要になると思いますが何点くらいが希望ですか?」
と、こちらが「希望する点数」を聞いてきた。この業者は宣伝に「点数のオーダーメイド可能」という文言を使用しており、こう説明をされた。
「TOEICにはオフライン試験とオンライン試験があり、どちらでも点数保証が可能です。大学進学にTOEICのスコアを使うなら実際に試験会場で受験するオフライン試験がオススメですよ。試験会場での受験する場合はデバイスを使う方法で費用は2万元(約40万円)です」