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ビジネス
最強の“増税マシーン”財務相の闇を暴く

再び“消費税劇場”に戻ってきた立憲民主党代表・野田佳彦氏 財務省内で「使い勝手佳彦さん」と呼ばれる背景を高橋洋一氏が紐解く

元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏

元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏

シロアリの言うがまま消費増税を決めた

 野田政権は「社会保障と税の一体改革」を掲げた。これは、消費税引き上げ分は、すべて社会保障の充実と安定化に使うという方針のことだ。これに沿って、消費増税が進められていったのである。

 ただ覚えている人は少ないかもしれないが、そもそも民主党は、4年間の消費増税凍結をマニフェストに据え、2009年の衆院選に勝利して政権を自民党から奪取したのだ。野田氏自身、選挙前は「マニフェストに書いていないことはやらない」「シロアリ退治が重要」「消費増税はしない」と言い続けていた。

 ちなみに「シロアリ退治」とは、天下りなどで私腹を肥やす、いわば国家に巣食う“シロアリ”のごとき官僚を辞めさせることだ。ところが、野田氏はシロアリ退治をするどころか、むしろシロアリの言うがまま消費増税を決めてしまったのである。

 その後、2012年8月、民主党、自民党、公明党の3党の話し合いとなった。当時の自民党総裁、谷垣禎一氏は財務大臣経験者で、政権構想の一環として消費増税を掲げていた。無論、財務省が千載一遇のチャンスと見て3党合意に持ち込んだのだろう。

 安倍さんは、自伝でこのように谷垣氏を暗に批判している。

〈当時の谷垣禎一総裁は、社会保障の財源を確保するには消費増税はやむを得ない、と説明していました。政局よりも政策を優先する良心的な谷垣さんらしい考え方で、立派だったと思いますが、その結果、首相になるチャンスを逸してしまったような気がします。〉

 その結果、法律が可決されて消費税率の5%から10%への引き上げが決まるとともに、消費税法第1条に「消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによる他、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」という文言が追加されたのである。

※高橋洋一・著『財務省 バカの「壁」 最強の“増税マシーン”の闇を暴く』(祥伝社)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
高橋洋一(たかはし・よういち)/株式会社政策工房会長、嘉悦大学教授。1955 年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980 年、大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1 次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008 年に『さらば財務省!』(講談社)で第17 回山本七平賞を受賞。『高橋洋一のファクトチェック2025 年版』(ワック)、『明解!金融講義世界インフレ時代のお金の常識・非常識』(ソシム)、『財務省亡国論』(あさ出版)ほか著書多数。

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