一方的な罵声を浴びせられ続けることもあるという(イメージ)
顧客から従業員に対する理不尽な要求、暴言や暴力などの著しい迷惑行為を指すカスタマーハラスメント、通称「カスハラ」が大きな社会問題になっている。その対策のために厚生労働省が法改正に乗り出すなか、2025年4月1日からは東京都や北海道など一部自治体でカスタマーハラスメント防止条例も施行されている。だが、被害はなかなか減らないのも実情だ。
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なかでも一方的なカスハラ被害を受けがちな職業の一つが「コールセンター」だ。相手に顔を見られないのをいいことに、大胆な言動に出る顧客が後を絶たず、延々と罵声を浴びせられ続けることもあるという。心配されるのは、それを受けるオペレーターのメンタルだろう。大手企業のコールセンターを受託運営するKBプロモーションの山越健太郎氏に、カスハラのリアルな実態と自社での対策について話を聞いた。
マニュアルはあっても想像以上のダメージ
まず、コールセンターにはさまざまな運営実態がある。自社内に設置するケースもあるが、KBプロモーションの場合は大手企業の“お問い合わせ受付”の一部を業務委託で受けるというスタイルだ。年度末が繁忙期で、季節によっては閑散期もあり、今は比較的落ち着いている時期だという。
「働く時間は現状9時半から18時半までと11時から20時までの2つの勤務体系です。繁忙期は60~70人、通常はその半分ぐらいで対応していて、多いときで1日300件ほど処理します」(山越氏、以下「」内同)
オペレーターの年齢は20代から60代までと幅広く、電話がかかってこなければ原則残業はないが、カスハラにより業務が滞ることはしばしある。
「困った電話としては、一回で1時間以上スタッフが拘束されたり、1日に何度も同じ内容のクレームを入れられるケースなどがあります。コールセンターの場合、いわゆる身体的な暴力を受けることはありません。ただ、終わりがないのがコールセンターの特徴です。短時間でもきついとは思うんですけど、長時間罵声を浴びせられると参ってしまう人は珍しくありません」