次回FOMCでのFRB・パウエル議長の発言が注目される(EPA=時事)
6月17~18日に開かれるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利は据え置かれると見られているが、市場関係者が固唾を呑んで注目しているのはそこではない。いったいどの部分に注目が集まっているのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがFOMCの注目ポイントについて解説する。
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6月17~18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が近づき、投資家の注目度が一段と高まっています。今回の会合では政策金利自体に大きな動きはないと見られていますが、市場が本当に注目しているのは「次の一手」です。
しかも今回は、インフレ懸念の再燃に加え、トランプ米大統領による利下げ圧力や次期FRB(連邦準備制度理事会)議長人事への発言も重なり、これまで以上に“政治色”の濃いFOMCになりつつあります。
関税再導入を盾に「利下げしろ」と迫るトランプ氏
2025年5月に表明されたトランプ大統領の関税再導入方針では、当初の「一律10%関税」を維持しつつ、追加関税については国別に交渉が進められており、対象品目や関税率は段階的に調整される見通しとなっています。
とはいえ、全体としては輸入品全体への広範な関税適用による物価上昇圧力が意識されており、市場ではインフレ再燃への懸念が広がっています。
一方で、トランプ大統領は「関税はインフレ要因ではない」と主張しており、利下げを強く求める姿勢を崩していません。
このように財政・通商政策と金融政策のあいだで矛盾をはらむ状況が、FRBの対応をより難しくしています。
とくに6月5日発表の米民間雇用サービス会社ADPによる雇用統計が市場予想を大きく下回ったことを受けて、トランプ大統領は再び「1ポイントの利下げ」をSNSで強く要求しました。
このようにトランプ大統領による金融政策への政治的介入の色合いが強まっていることが、今回のFOMCの背景として見逃せません。