シゲルさんが最近感じた“買い”の気配とは
「トランプ・ショック」により世界の株式市場で先行き不透明な展開が続いている。そうした状況を、資産20億円超の89歳現役トレーダー「シゲルさん」こと藤本茂さんはどう見ているのか。株式投資を始めたのは19歳の時のこと。以来、70年にわたって相場と向き合い、バブル崩壊をはじめとする幾多の危機を乗り越えて数多の資産を築いてきたシゲルさんに、こうした相場状況にどう対応すればいいかを聞いた。
デイトレードに加え、「増収・増益・増配」に着目した長期投資も手がけるシゲルさんは、情報収集のために午前2時に起床する。取引時間中にチェックする銘柄は80ほどで、次々と売買を繰り返しては、利益を確定させていく。そんなシゲルさん、今年に入って以降、トランプ大統領の政策によって市場が大きく動くことを歓迎していたが、最近は怒りを覚えているという。
「それにしても、最近のトランプは関税だけじゃなくて、抗議デモを軍隊で制圧までしようとしてやりすぎや。とんでもない! ああいうことをやるのもニュースになって注目を浴び続けようとしているだけちゃうかな。注目さえされれば、それでいい。本当はああいうとんでもない人間に振り回される必要はない。株をやる場合も、トランプにただ振り回されるのではいかん。株式市場では買いたい人間と売りたい人間がいるから、その動向を見て、上がるか下がるかをなるべく冷静に考えていけばいいと思います」
約定するかしないかで株価の方向性が見えてくる
シゲルさんが最近、“買い”の気配を感じた具体例をこう挙げる。
「格安スマホ事業者のネットワーク運用などを支援するミーク(東証グロース・332A)は今年3月にIPO(新規上場)した。その後、市場から見放されたところを『セカンダリー投資』で何回も売買しています。前週の5月27日に新高値(930円)を更新したけど、下がったところをまた買って上がったら売るようにしています。
実は、このあともミークを何回か買いに行ったけど、次々と高値をつけて買えなかった。いわば狙いをつけたタマを“空振り”したわけやけど、この『買いに行ったけど買えない』というのは、まだまだ上値を目指せるサインでもある。これも大事な株の材料だから覚えておいてほしい。逆に、売りに行ったけど売れない場合は、さらに下値を目指す可能性が高まる。売買注文が約定するかしないか、その具合でも株価の方向性というのは見えてくるものです」
シゲルさんのひとつひとつの動きとその解説から得られるものは大きい。「マネーポストWEB」では、そんなシゲルさんの売買履歴の詳細を本人が解説する連載「特別公開!シゲルさんノート」を随時掲載している。関連記事『【1週間の売買履歴が丸わかり】89歳現役トレーダー藤本茂氏の「シゲルさんノート」を特別公開!6月1週目は「バフェット銘柄」で儲けていた』はその最新回だ。
【プロフィール】
藤本茂(ふじもと・しげる)/19歳で株式投資を始め、1986年に転換社債の投資を機に専業投資家になる。66歳でパソコンを買い、ネット取引に移行。70年間、個人投資家として相場に挑み、現在の資産は20億円を超える現役トレーダー。「投資に年齢は関係ない」がモットー。