増え続ける推し活グッズに疲弊する人も(イメージ)
“推し活”という言葉も一般的になった昨今。イベントに行ったり、グッズなどを買い集めたりなど、さまざまな形でお金がかかる推し活においても、サブスクリプションサービスの普及もあり、CDやDVDなどの“現物”への需要は下がりつつある。そんな中、“現物”を買い続けてきた“推し活中高年”たちは苦悩を抱えている。
「これまで買い続けてきたから買っているだけ」
都内に住む会社員のAさん(40代男性)は、10代の頃からの女性アイドルファン。特定のグループに集中するのではなく、多くの女性アイドルグループのCDを買い集めてきた。しかし、最近はCDを買うことに対するモチベーションが下がってきているという。
「もともと握手会のようなCDの特典イベントにはあまり興味がなく、同じCDを何枚も買うような応援スタイルではないんですが、気になるアイドルのCDは買い集め、コレクターに近い活動をしてきました。でも、最近はふと『いつまで買い続ければいいのか』と感じることも多いんです……」(Aさん)
AさんがCDを買い続けてきた大きな理由は、「すべてを手元に置いておきたかった」から。それなのに、最近はCDを所有することにあまり価値を見いだせなくなってきたと話す。
「昔なら、アイドルオタク仲間が自分の家に遊びに来て、ズラッと並んでいるアイドルCDの棚を見ながら会話も弾んだものですが、最近ではCDを買い集めているオタクも減っているし、なんなら『いまだにCDを買ってるの?』と不思議がられる。
たしかに、サブスクで楽曲は聞けるし、YouTubeにもミュージックビデオが公開されている。特典会にも行かないのにCDを買うという行為は、理解されにくくなっているのかな。私自身も楽曲はサブスクで聞いているし、CDを買っても開封しないことも多い。ただただ、これまで買い続けてきたから買っているだけで、やめるタイミングを失ってきたような感じです。もはや集めるために買っているということですらなくなってきて、惰性でしかない」(Aさん)
何よりCDを買うことへの経済的な負担や保管場所の問題も大きい。
「CDも値上がりしていて、昔ならシングル盤が1000円くらいだったのが、最近は2000円くらいするものも多い。初回限定盤のバリエーションも増えていて、網羅しようとすると、かなりのお金になってしまう。CDに対するモチベーションは下がっているのに、CDに費やすお金は増えているんです。
ちゃんと保管しておきたいんですが、増え続けるばかりなので、そのスペースを確保するのも難しくなってきた。CDのために広い部屋に引っ越すほど金銭的な余裕があるわけでもないし、どうしたものかと……。『買うのをやめて、要らないCDを処分すればいいだけだろ』という話なんでしょうが、これまでCDを買い続けてきた30年近くが無駄になってしまうような気がして、なかなか決断できない。いっそのこと、運営サイドがCDの販売をやめてくれたら助かるのに……なんてことを考える日々です」(Aさん)