SNSの影響は大きい(写真:イメージマート)
近年、TikTokやインスタグラムなどで加工された写真や動画、理想化された身体に関する情報が蔓延しており、それを日々目にする若年層の価値観にもさまざまな影響を与えている。そうしたなかで女子小中学生の間でも脱毛やプチ整形への願望が広まっている実態があるという。SNSへの日常的な接触がルッキズム(外見至上主義)を浸透させることに、危機感を覚える大人たちは少なくないようだ──。
「腕毛が生えているといじめられる」と話す中学生
都内の学習塾で勤務している大学生のAさん(20代女性)は、中学生の会話に容姿に関する話題が増えていると語る。
「授業のあいまに中学生の女子と話す機会が多いのですが、彼女たちの話題の中心は容姿に関することばかりで驚きます。私が中学生だった頃は、そこまで見た目のことを話題にしていなかったし、ルッキズムの考え方もそこまで支配的ではなかったと思いますね。休憩時間はずっとスマホで自撮りし合っていて、『まじで盛れない』とか、そんな話ばかりですよ。
先日は『腕毛が生えているといじめられるから、脱毛に通っている』という女子生徒がいて、『先生も脱毛してる? 医療脱毛?』などと尋ねられました。また別の生徒は、『私ブスだから学校で人権ないんだよね』などと笑いながら話していて不安になりました。彼女たちはもちろんデジタルネイティブで、いつもスマホでTikTokを開いているので、そういった情報ばかり目に飛び込んでくるんだと思います」(Aさん)
また、「痩せている」ことへのこだわりも強いようで、こんな会話も飛び交っているとAさんは続ける。
「中学生でも、キャバ嬢やラウンジ嬢など、SNSでインフルエンサー化している女性たちのアカウントを見ています。また塾に持ってくるお弁当や彼女たちがコンビニで買ってきた商品を見ると、『太らないもの』ばかりなんです。中学1年生が、『ダイエットのために卵とサラダチキンとサラダしか食べない。炭水化物はいらない』と話していたり、ハンバーガーチェーンでテイクアウトしてきた子たちは『太るからポテトとか絶対食べない(笑)』と話している。
ヘアカラーやメイクが禁止だと、彼女たちができる美容は『脱毛、ダイエット、二重にする』とか、そういうことになるんです。中学生のときから容姿のことにとらわれていたら、大人になったらどうなってしまうんだろうと、他人の子どもながら不安になります。ここまでルッキズムが支配する時代に、自分が子どもを産んで育てるのは無理だと思ってしまいます」(同前)