東京都が人口減少に転じるのも時間の問題
そもそも東京圏から全国各地への人の流れを太くするという分散政策は、既存の地方自治体がずっと続くことや、東京圏がいまの姿のままであることを前提としている。だが、半世紀もしないうちに日本人人口が半減する流れに入ってきた以上、すべてが変わらないというのはありえない。
日本人人口が半世紀もせずに半減したならば、地域偏在はさらに加速し、多くの企業は成り立たなくなる。“地方消滅”が拡大するだろう。東京都も人口を大きく減らすこととなる。
すでに東京圏の大変化の予兆は見え始めている。
総務省の人口推計(2024年10月1日現在)によれば、東京都こそ前年比0.66%増と(かなり低い水準だが)人口増が続いているが、隣接する神奈川県と千葉県は減少している。埼玉県は0.01%増と横ばいだ。東京都が人口減少に転じるのも時間の問題ということだ。
しかも、今後の東京圏は高齢者が激増する。いまだ一極集中が続いていることは事実だが、東京都への日本人の転入者の勢いには陰りが見える。それでも一極集中が止まらないのは、住民の高齢化に伴い東京圏から地方へと転出する日本人が減っていることと、外国人の転入者が増えていることが要因である。
全国各地から日本人が一方的に流入して、東京都の人口を押し上げているわけではないのである。
次のページ:人口減少社会で最も避けるべきは人口の「分散」