ビジネス関連セミナーの受講生の温度感は?(イメージ)
時に会社からの指令でビジネス関連のセミナーや講演会に参加する機会があるだろう。もちろん仕事に役立つ有益な話は多いものの、正直、「現業が忙しいのに会社から行かされた」という気持ちを持つ人もいるのではないだろうか。そして、そうした意識はセミナーの講師側にも伝わるもの。かつては年間60回ほどのセミナー講師をしたというネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「もうビジネス関連のセミナー講師はやりたくない」と述べる。なぜそう思うに至ったのか、中川氏が率直な思いをつづった。
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私は過去に「広報(PR)」「ウェブ編集」「ウェブ文脈の読み方」などのビジネスパーソン向けセミナー講師をやっていました。他にも編集者・ライターになりたい「個人」向けに「編集・ライティングの技術」「ウェブライティング講座」「フリーランスで稼ぐ方法」を担当しました。
後者の「個人」が相手のセミナーは本当に素敵な仕事でした。何しろ受講生が皆、野心を持ってギラギラとした目で「いつか私もライターとして独り立ちしたい!」といった欲望を露わにし、熱心に講義を聞き、質問タイムはなかなか終わらない。終わった後は「先生! 飲みに行きましょう!」なんて話になる。
そして、それから数年後、その人からメールが来て「ついに私も署名記事を書きました!」や「ついに私も本を書きました!」という嬉しい連絡が来るのですね。こうした個人相手のセミナー講師は私自身「やっててよかった……」としみじみと思います。何しろ自腹で数十万円を払って半年間の講座に参加し、課題をこなすような意識の高さを持った人々が相手なのですから。
しかし、ビジネスパーソン向けのセミナーの受講生はこのような熱意がないことが多過ぎました。会社からの命令で派遣され、レポートを書かなくてはいけないから取り敢えず参加はするものの、皆さんの表情からは「なんで現業が忙しい私がこんな座学に参加しなくてはいけないの?」といった意思が透けて見える。
講義中に受講生のスマホがブルブル鳴るのも当たり前の光景。寝る人はさすがにほとんどいないものの、表情が固い。恐らくこの日、気になる案件があるもののこのセミナーに参加するためその進捗がよく分からないから、セミナーどころではないのでしょう。