増加する“押し買い”に危機感を持つ声も
出張買取では、家に人を上げた後も懸念が残る。悪質な業者による、押し売りならぬ“押し買い”はその代表格で、国民生活センターによると、「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」といった相談が数多く寄せられたという。相談件数は2021年6925件のところ、2023年には8581件に増え、年々増加傾向にある。
「売るつもりのないものを無理に買い取ろうとする“押し買い”被害が社会問題となっており、その多くが男性の訪問によるものです。これを受け、特に一人暮らしやご高齢の女性から、『女性スタッフなら安心』『話を聞いてもらえる』といった声が増えています。女性スタッフの方が、お客様の想いや背景に寄り添った丁寧な対応をしてくれる、という印象を持たれることが多く、それも安心感につながっています」(福島氏)
女性スタッフが対応できる店舗はまだ限定的
女性スタッフの対応は、男性が作業するイメージがあるエアコン清掃の現場にも広がりつつある。ハウスクリーニングチェーン「おそうじ本舗」では、担当店に女性スタッフがいる場合、または近隣に女性スタッフがいる店舗があれば女性スタッフによる対応が可能だ。
「おそうじ本舗」を展開するHITOWAライフパートナーのマーケティング担当者は、「実際に女性スタッフに依頼されたお客様からは、『女性スタッフがいるとより頼みやすい』という感想をよくいただきます」と話す。
ただし女性スタッフを希望する声がある一方、その人員は「まだ多くはない」とのこと。おそうじ本舗の女性スタッフのほとんどは、「ご家族で経営される加盟店の女性家族」が実情だといい、女性スタッフが対応できる店舗は、加盟店のうち約23%にとどまるという。
「脚立の登り下りや、比較的暑い環境で作業を行うため、男性がする作業するイメージが強いかもしれませんが、現場の女性スタッフからは『女性だからできない』『やりづらい』という内容は特にないと聞いています。お客様により安心感を感じていただくためにも、女性スタッフ比率を増やしていきたいとは考えています」
顧客ニーズにこたえるかたちで、女性が活躍するシーンが増えそうだ。