閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
家計
「なぜか潰れないあの店」の秘密

福井のスーパーが導入した「ゆっくりレジ」はなぜ消費者に響いたのか? 「時間がかかるけど許してほしい」というニーズを発掘、売上増だけでなく社会貢献にもつながる取り組み

好意的な口コミが多かく導入店舗の宣伝効果も

 なお、「ゆっくりレジ」を導入したスーパーは売上を急上昇させ、さらに、顧客満足度を向上させました。もちろん、要因分析は慎重にするべきで、「ゆっくりレジ」の導入だけを売上増加の要因とするのは強引です。ただし、増加の一因を担ったのは間違いないでしょう。「絶対にゆっくりレジを使う」というお客からの声が多数あったといいますから。

 このゆっくりレジは、社会貢献の側面から見ると、高齢者や認知症の方の外出機会を増やした偉業であるとすらいえるのではないでしょうか。やはり、好意的な口コミが非常に多かったようで、導入店舗の宣伝効果も高かったようです。だって買い物をしに行くと、ゆっくりお会計ができて、その間に店員さんと話すこともできます。長話になっても、誰も怒らない。そこで他者と触れ合うことができます。普段あまり人と話す機会のない人や話し好きの人には、とくに嬉しいサービスのはずです。

 このように、「ゆっくりレジ」は単なる思いつきのサービスの一つではなく、顧客ニーズを的確にとらえた戦略的なビジネスモデルといえますね。スピードの時代から逆行する「ゆっくり」の価値を提供することで、利益を上げることに成功しています。

※坂口孝則著『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?』(SBクリエイティブ)から一部抜粋して再構成

【プロフィール】
坂口孝則(さかぐち・たかのり)/経営コンサルタント、講演家。セミナー会社経営。大阪大学卒業後、電機・自動車でのサプライチェーン・調達業務に従事。現在、未来調達研究所株式会社に所属。同社にて、多くの無料教材を提供中。コンサルティングにくわえて、企業講演、各メディアでの出演・執筆を行う。主な著作に『調達・購買の教科書』『製造業の現場バイヤーが教える 調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『営業と詐欺のあいだ』『買い負ける日本』(幻冬舎)、『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?』(SBクリエイティブ)等がある。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。