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家計
「なぜか潰れないあの店」の秘密

福井のスーパーが導入した「ゆっくりレジ」はなぜ消費者に響いたのか? 「時間がかかるけど許してほしい」というニーズを発掘、売上増だけでなく社会貢献にもつながる取り組み

なるべく早く進むレジに並びたいという人もいるだろうが…(イメージ)

なるべく早く進むレジに並びたいという人もいるだろうが…(イメージ)

 スーパーやコンビニなどで、会計の際に並ばざるを得ない「レジ」。少しでも短い列や、レジでの処理が早く進みそうな列に並ぶという人は多いだろう。空いているセルフレジを活用するという人もいるかもしれない。背景にあるのは、時間効率を重視する「タイパ」だが、逆タイパともいえる「ゆっくりレジ」が消費者に響いているケースもあるという。経営コンサルタントの坂口孝則氏の著書『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?』から一部抜粋して再構成して解説する。【「なぜか潰れないあの店」の秘密・全4回の第4回】

「時間がかかるけど許してほしい」というニーズ

 実は、あるスーパーの「ゆっくりレジ」がひそかに注目を集めています。レジなんて、効率的であるほうがよかったはずです。だからバーコードや、無人レジまで登場しているのです。この一見矛盾するビジネスモデルの秘密をひも解いていきましょう。

 この「ゆっくりレジ」は、文字通り、お客がお会計の支払いを“ゆっくり”できる専用レジです。スーパー「ハーツ」が福井県内の11店舗全店に導入しました。「ゆっくりレジ」という旗も設置し、いくつかのレジのうち一つを対象としました。こうすると素早く決済したいユーザーのニーズも取り逃しません。しかも、ちゃんと会話できるスタッフも完備していたのでスムーズな展開が可能でした。

 この「ゆっくりレジ」ですが、なぜ人気なのでしょうか。みなさんも経験があるかもしれませんが、飲食店の自動発券機でやり方がわからずに、ドキドキしたことがありませんか? 私ははじめて訪れたステーキ店が自動発券機だったのですが、あまりにもトッピングの設定等が複雑怪奇で手間取っていたら、後ろに並んだお客から舌打ちされました。

 もちろん素早くお客をサポートするのも重要でしょう。しかしそれにも限界があります。むしろ顧客ニーズとして、「現金支払いで時間がかかるが許してほしい」「子連れで手間取るが許してほしい」「高齢者や認知症で時間がかかるけれど許してほしい」、さらに「後ろの人が待っているプレッシャーから解放されたい」というニーズは相当にあります。周囲から異常なせっかちと認定されている私だってそうなのですから。

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