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「なぜか潰れないあの店」の秘密

街の「焼き芋屋」はなぜ儲かるのか? 飲食店と比べて高い利益率を実現する「原材料コストが販売価格の2割」という圧倒的優位性

石焼き芋を販売する軽トラ

石焼き芋を販売する軽トラ

 駄菓子店や傘店、靴店… 人通りが多い立地でもなく、価格もそれほど安くないのに長く商売を続けている店がある。「どうやって生き残っているんだろう?」そんな疑問を抱いたことはないだろうか。

 経営コンサルタントの坂口孝則氏によれば、そんな店には「成功パターン」があるという。たとえば、街なかで遭遇する移動式の焼き芋屋。キッチンカーを用いた商売は一見不安定のように見えるが、どのようにして採算を合わせているのだろうか。坂口氏の著書『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?』から一部抜粋・再構成して解説する。【「なぜか潰れないあの店」の秘密・全4回の第1回】

マーケティングコストが不要

 焼き芋屋は、基本的には秋から冬にかけての季節限定ビジネスです。この季節感を活かし、限定感を演出することで、消費者の購買意欲を高めています。焼き芋屋はもともと、歴史を遡ると江戸時代に始まった古い商売です。街中を移動しながら販売することで、固定店舗を持たず、家賃などの固定費を削減しています。必要なのはイモと燃料費、後は売り手の人件費だけ。初期費用もリヤカーならば100万円くらい。軽トラックならば200万円から可能な、低費用で起業できるビジネスです。

 また、焼き芋屋は、農作物を加熱するビジネスです。複数のイモを使っても、レストランのような複雑な商品管理は必要ありません。さらに、焼き芋屋はそれ自体が周知されており、移動販売時の売り声が日本人の食欲をそそります。江戸時代からの伝統に乗っかることができるので、マーケティングコストが不要なのです。

 ちなみにお馴染みの石焼きの手法は戦後から登場したのですが、窯に敷いた石が70度でじっくりと焼くのでサツマイモがちょうど甘くなり、それが日本人好みといわれます。このところスーパーマーケットやディスカウントストアで焼き芋を販売するケースが多くなってきましたが、これも同様の温度に設定しています。

 そして逆にいえば、こうした店舗で販売することが、世間での認知を高め、個人販売の焼き芋屋にとって追い風となりました。有名なところでは、ディスカウントストアのドン・キホーテがアジアの店舗で焼き芋を販売して集客していますよね。

 技術的にも電気式の焼き芋オーブンが広がり、比較的経験の少ない方々でも販売に参入しやすくなったのです。その電気式のオーブンによって、「ねっとり」とした焼き芋も可能になりました。つまり技術進化によって、焼き芋の新たな味わい方が可能になったのです。焼き芋は「ホクホク」から「ねっとり」への食感革命という変化が起きたことで注目を浴び、再評価されました。

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