「親が家でずっとテレビをつけているのと同じ感覚」
一人暮らしをしながら都内の専門学校に通うBさん(20代男性)にとって、電車の中は「スマホで動画を見る時間」だという。
「アイドルや芸人のYouTubeか、アニメを見ていることが多いですね。何もしないよりは、動画を見ていたほうが落ち着くというか。僕の親は、家でずっとテレビをつけている人なんですけど、そういうノリかもしれません」
また、埼玉県の自宅から都内の企業に通勤するCさん(30代男性)も、「電車に乗ったらすぐスマホを取り出す」タイプ。「基本的に情報収集をしている」という。
「ネットニュースを読んだり、飲み会の店をどこにするか調べたり。スマホを出さないことはないですね」
「紙の本や新聞がスマホになっただけ」
こうした“電車内でスマホを見る”行為について、「時代とともにデバイスがかわっただけ」という指摘もある。メーカー勤務のDさん(40代男性)は、「紙の本や新聞がスマホになっただけでは」と語る。
「昔はスマホがなかっただけで、電車内で何かできることがあればやったもの。私も予備校時代は電車内で覚える用に単語カードを作っていましたし、マンガも読んでいました。そういえば、私が子供の頃は、男性サラリーマンが電車内で少年漫画雑誌を読みふけっていたものです。なんならそれを揶揄するような風潮もありました。いつの時代も、自分がやらないことを大勢の人がしていると違和感をおぼえるものだということは変わらないのでは」
Dさんより一回り年上であるEさん(50代男性)は、「イヤホンで音楽を聴いていることも“異様”だと言われていることもあった」と述懐する。
電車の中が個人の時間に没頭できる空間という意味では、今も昔も同じだということなのだろうか。ただしスマホの場合、歩きながら見たり、通路を塞いで周囲の迷惑になっていたりしかねないのは気をつけたい。