長期保有銘柄を売る判断は?(イメージ)
コンスタントに投資で利益を出すためには、自分なりの損切りルールを守ることがポイントになる。だが、元証券アナリストのさかえださんは、長期保有の「のんびり投資」では、厳格すぎる損切りラインの設定は利益を最大化できないという。
49歳でFIREを達成したさかえださんは、損切りラインの設定よりも「儲けにつながるストーリー」を基準にすべきだと説く。自分が設定した「ストーリー」から外れる出来事が起きた時は、躊躇なく撤退するという。
さかえださんの新刊『2倍株・3倍株がぽこぽこ生まれる のんびり日本株投資』(すばる舎)より、一部抜粋・再構成して紹介する。
のんびり投資で長いスパンでのリターンを最大化する
個別株投資は、場合によっては見切って売る判断も必要です。その「場合」のひとつが、大きな含み損を抱えてしまった状況です。投資をしていれば、持ち株のいくつかが含み損の状態になることは珍しくありません。ただ、その規模が大きくなってくると、損を確定することが恐ろしくなり、現実から目をそらして放置してしまうことがあります。そうしているあいだにも、含み損がジリジリと大きくなっていく……なんてこともしばしば。
しかし、その銘柄が大きな含み損になっているのには、何かしらの理由があるはずです。不祥事を起こしたとか、想定以上に悪い決算を発表したとか、需給が悪化するような行動があったとか、さまざま理由があるわけです。ここで大事なのは、「自分はどこで見切りをつけるのか」を決めておくこと。投資でコンスタントに利益を出せる人は、この自分なりの見切りのルールを厳格に守っていることが多いです。
たとえばマイナス10%以上の含み損になったら、とにかくいったん撤退するなど、機械的に見切るルールにしている方も多くいます。特に投資関連のインフルエンサーなどには、こうした見切り方法を選択する方が多い印象があります。ただ、必然的に投資期間が中長期になるのんびり投資のスタイルでは、こうした機械的な損切りラインの設定はお勧めできません。株を長く保有していると、株価の上下動の波のなかで含み損が一時的に大きくなる状況は珍しいものではありません。そういうとき損切りラインを厳し目に設定していると、中長期的な成長を始める前に損切りせざるを得なくなることが多いためです。あまりに大きくなりすぎれば困りますが、長期投資では多少の含み損には目をつぶり、むしろ長いスパンでのリターンを最大化する意識を持つべきでしょう。