無理に自炊しようと頑張りすぎなくてもいい(写真:イメージマート)
家族に先立たれたら、ひとりで生活できるのか……不安ばかりが募るが、老後ひとり暮らしの明暗を分けるのは、日々の小さな工夫だ。
いざひとりになった時、直面するのが生活面の困難。食事や掃除、洗濯までできることが少なく、あれもこれもやれるようにならなければ……と焦るが、「ひとり暮らしの極意は『他力』にある」と話すのは妻に先立たれた男性の集いである「没イチ会」を主宰するシニア生活文化研究所代表理事小谷みどり氏。
「できない自分と向き合うと思考もマイナスになっていきます。がんばりすぎないことが大切です。料理が苦手なら地域の『誰でも食堂』を訪れるといい。似たような境遇の人がいることもあり、食事をしながら身の上を語り合うこともできる」
スーパーの惣菜コーナーで夕食を買ったり、宅食サービスなどを利用してみるのも手だという。
「いろんな食材を買って無理に自炊しようとするより安上がりになるケースは多い。冷凍弁当などを定期的に自宅に届けてくれる自治体の配食サービスは孤独死の防止にもなります」(小谷氏)
気をつけたいのが「服装」だという。
「ひとり暮らしの男性は起きたまま着替えない人が珍しくない。それは日常生活を送ろうという意欲を失う『セルフネグレクト』の始まりで、気づいた時には自宅がゴミ屋敷になりかねません。まずは着替えることから。新しい服を買いに行くのもいい。外出するきっかけになります」(同前)
面倒な洗濯は「家電」で解決できると小谷氏。
「全自動洗濯乾燥機にすれば、面倒な干す作業もいりません。省エネ家電の買い換えに補助金やポイントを出す自治体が多いので、そこまでの出費にならないケースは多いです。自動掃除機や食器洗い機も導入してみると時間と手間が省けて生活が変わりますよ」
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※週刊ポスト2025年8月8日号